29日から三太郎線で再実験 奄美市住用町
2021年04月26日
世界自然遺産
夜間に野生生物を観察するナイトツアーで人気が集まる奄美市住用町の市道三太郎線周辺で4月29日から5月9日までの11日間、車両の通行を規制する実証実験が行われる。実験は昨年11月に続いて2回目。希少動物を保護し、ツアーの満足度を高めるため、通行方法などの利用ルールを見直した。期間中の通行は予約制。大型連休中は混雑が見込まれるため、環境省は「利用を考えている人は早めに予約をしてもらえれば」と呼び掛けている。
実証実験は、今年夏の奄美・沖縄の世界自然遺産登録に伴うナイトツアー客の増加を見据えて、アマミノクロウサギなどの交通事故や、通行をめぐる利用者同士のトラブルを防止するのが目的。環境省、県、奄美市と民間団体などで構成する三太郎線周辺の夜間利用適正化連絡会議が実施。実験結果を踏まえて、7月以降に利用ルールの試行的な運用開始を目指す。
前回の実験は11月に実施。三太郎線の東仲間│西仲間の区間で夜間に車両を一方通行とし、利用台数を制限した。環境省によると、多くの利用者がアマミノクロウサギなどを観察できた一方、前の車両との間隔が詰まったりして十分に観察できない人もいた。
今回は期間中の午後7時~翌朝6時まで、1時間の利用台数は前回と同じ4台。車両の間隔を空けるため双方向通行とし、東西2カ所の入り口からそれぞれ30分おきに1台に制限する。三太郎線が接続する市道スタル俣線は通行止め。市道石原栄間線の通行は環境省への報告が必要とした。
ナイトツアーに慣れていない人にはガイドの同行を推奨する。現地では時速10㌔以下で走行することや、車両同士で譲り合うことなど野生生物を観察するルールを入り口の看板で周知する。規制に法的な強制力はなく、利用者に協力を依頼する。
環境省によると、23日午後5時現在の予約状況はガイド41台、一般8台の計49台。日別では5月2日が10台と最も多く、4月30日と5月3日が各8台、4月29日が6台と続く。午後7~9時の時間帯に混雑する傾向がみられる。
奄美群島国立公園管理事務所の山根篤大国立公園保護管理企画官は「夜間の交通量の増加に伴い野生生物への影響が懸念されている。持続可能なナイトツアーの実現に向けてより良い利用ルールを検討していきたい」と述べた。
予約はウェブ上の予約システムで受け付ける。奄美群島国立公園管理事務所のホームページかQRコードからアクセスできる。現地近くの三太郎の里(住用町摺勝)のタブレット端末からも予約できる。問い合わせは電話090(5286)1218実験事務局の奄美群島国立公園管理事務所へ。