今季、奄美大島にザトウクジラ720頭来遊
2019年04月05日
奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)は3日までに、冬から春にかけて奄美大島近海に来遊するザトウクジラについて、2019年シーズンの調査結果(1日現在、速報値)をまとめた。出現確認数は前季(699頭)を21頭上回る720頭(441群)。加盟6事業者によるホエールウオッチングの参加者は前季の3割増の約3千人に達し、ともに過去最多となった。
ザトウクジラは体長12~14メートル、体重30トン超にもなる大型のヒゲクジラ。頭部のこぶ状の突起と長い胸ビレが特徴。夏場はロシアやアラスカなどの冷たい海で餌を食べ、冬季に繁殖や子育てのため、国内では沖縄や小笠原などの暖かい海域へ移る。
調査は環境省の18年度奄美群島国立公園奄美大島周辺海域における鯨類調査等業務の一環。同協会の加盟事業者などが陸上と海上でクジラの出現状況を確認した。
今季は18年12月1日に奄美市笠利町土浜沖で初確認。南下は2月上旬、北上は2月下旬から3月上旬にそれぞれピークを迎え、最も多く確認された日は2月3日、同9日のともに27頭だった。
ホエールウオッチングの参加者は前季比751人増の2936人。そのうち海に入って泳ぎながらクジラを観察するホエールスイムの参加者は前季より698人多い1475人と全体の過半数を占めた。
同協会は13年に発足。冬場の観光に生かそうと、加盟する地元ダイビング事業者らがザトウクジラの出現状況を調べて情報を共有し、ウオッチングの自主ルールを作ってエコツアーを展開している。
クジラの確認数とホエールウオッチング参加者数は、調査を本格化した14年からともに増加傾向が続き、奄美の冬季観光の目玉として注目されている。
興会長は「沖縄が中心だった繁殖海域が拡大しているかもしれない。奄美は親子クジラが多くなっているのが特徴。島陰が多く、子育てする環境に適しているのではないか」と考察。人気が高まるホエールウオッチングについて、「事業者のサービスや安全管理の向上を図り満足度を高めていきたい」と話した。