住民参加の重要性を再認識 外来植物モニタリング調査報告会 奄美市名瀬

2025年02月17日

住民参加の重要性を再認識した「外来植物モニタリング調査報告会」=16日、奄美市名瀬

鹿児島大学鹿児島環境学研究会と環境省共催の「外来植物モニタリング調査報告会」が16日、奄美市名瀬の同大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室であった。調査に協力した地域住民らが奄美大島での外来植物の分布状況などを報告。協力員が県内で未確認だった特定外来植物「オオカワヂシャ」を徳之島で発見し早期駆除につながった事例の共有もあり、世界自然遺産価値の保全に向けて、住民参加型の管理の重要性を再認識した。

 

同研究会は同省から委託を受け2022年度から、地域住民向けに外来植物の分布調査の講習会を行っている。講習後も一部の受講者には協力者としてGPS付きのカメラが渡され、協力者は位置情報付きの植物写真と種の名前を提出する。

 

16日は3人の地域住民が発表。瀬戸内町の保岡海斗さん(27)は奄美市住用町のマングローブ周辺で92種の植物を確認し、うち11種が外来種だったことを報告。奄美市名瀬の平さおりさん(57)は奄美大島で見つけた「カワヂシャ」を「オオカワヂシャ」として提出後、写真を確認した専門家から間違いを指摘されたことを紹介。専門家との交流が徳之島での発見につながったことを伝えた。

 

同市名瀬の大城雄一さん(46)は、昨年10月に同市笠利町であった講習会に参加。外来植物で覆われる森林を訪れた際に「きれいだと思っていたものが外来種と分かり、衝撃を受けた」と話し、その後調査に協力したことを伝えた。

 

総括では同センターの鈴木英治特任教授が、22年度からの3年間で延べ13人が協力し、800種(うち外来種180種)6554点(同2333点)の情報提供があったことを紹介。提供データも用いて奄美大島における外来植物の侵入状況について分析した結果を示し、早期発見・対策の重要性などを訴えた。

 

このほか、同大学農学部4年の坂元小梅さんが大和村と宇検村に連なる湯湾岳周辺で外来植物の分布状況を調査した結果を報告。同大学総合研究博物館の田金秀一郎准教授は、県のレッドデータブック改定に向けた調査方針などを説明した。

 

参加した県立大島北高校2年の元一進さんは「一般の人たちが協力した活動でいいなと思った。野生生物も含めて、幅広い年代の方がモニタリングに参加できればいいと思う」と話した。