固有の昆虫3種 国立公園で捕獲禁止に

2020年03月07日

アマミマルバネクワガタ=奄美大島(奄美野生生物保護センター提供)

アマミマルバネクワガタ=奄美大島(奄美野生生物保護センター提供)

 環境省は6日までに、奄美群島国立公園内で捕獲などを禁止する指定動物に、奄美大島と徳之島に生息する昆虫のマルダイコクコガネ2亜種とアマミマルバネクワガタの固有種3種を指定した。3種とも両島の8市町村の希少野生動植物保護条例ですでに捕獲が禁止されているが、今年夏を見込む世界自然遺産登録を見据えて、候補地となっている両島で密猟対策の強化を図った。

 

 国立公園内では自然公園法に基づいて、最も規制が厳しい特別保護地区については、許可なく全ての動植物を捕獲、採取することが禁止されている。指定動物は、特別保護地区に次いで重要なエリアとなる特別地域内での保護が目的。無許可での捕獲のほか、殺傷や卵の採取などを禁じている。

 

 指定動物はこれまでに全国9カ所の国立公園で爬虫(はちゅう)類3種、昆虫6種が指定されており、奄美群島国立公園では初めて3種が選定され、追加された。

 

 アマミマルバネクワガタは奄美大島と加計呂麻島、徳之島に生息。マルダイコクコガネは奄美大島、徳之島のそれぞれ一部の地域だけに生息する。開発や採集などで個体数が減少し、いずれも環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類。各市町村は条例で捕獲などを禁じ、違反者には1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。

 

 昆虫はマニアが多く高額で取引されることもあり、密猟のリスクが高い。奄美群島国立公園管理事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官は「パトロールや監視カメラの設置など市町村の取り組みと連携して対策を強化する」と力を込める。

 

マルダイコクコガネ=徳之島(奄美野生生物保護センター提供)

マルダイコクコガネ=徳之島(奄美野生生物保護センター提供)

 7日で国立公園指定から3年を迎え、「奄美群島の豊かな自然環境を守るため、これからも地域住民と協力して保全の取り組みを進めたい」と意欲を見せた。