夜道のクロウサギに注意 奄美大島・徳之島で啓発活動
2020年09月16日
国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故防止キャンペーン(環境省主催)が15日、奄美大島と徳之島で始まった。両島では近年、クロウサギの交通事故が多発しており、街頭などで地域住民や観光客らに安全運転を呼び掛ける。
アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島の固有種。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類。同省によると、クロウサギの交通事故は2000年の調査開始以降で296件(20年8月末現在)に上る。けがをして保護されたのは20件のみで、ほとんどが死亡した状態で見つかった。
15年以降は事故の増加傾向が続き、18年は過去最多の40件(奄美大島21件、徳之島19件)に上った。20年は8月末現在で34件。そのうち奄美大島は25件で、同島で最も多かった17年の26件に迫るペースで発生している。
野生生物を襲うマングースの駆除や野生化した猫(ノネコ)の捕獲など保護対策が進んだことで、両島ではクロウサギの生息状況に回復傾向がみられる。近年は山中の林道だけでなく、交通量が多い国道や県道などでも事故が多発。ケナガネズミなど他の希少種も事故の増加が懸念されている。
交通事故防止キャンペーンは毎年、クロウサギが繁殖期を迎えて活発化する秋に実施。今年は11月15日まで。両島の計2カ所でクロウサギのマスコットキャラクター「あまくろ」がチラシを配布し、安全運転を呼び掛けるほか、ラジオや各自治体の広報誌での啓発、公共、観光施設へのポスター掲示などを展開する。
環境省奄美群島国立公園管理事務所は、「クロウサギが活動する夜間は特に注意して、生き物が出てきてもすぐに止まれるゆとりのあるスピードで運転してほしい」と注意喚起している。