奄美大島いきものがたり

2024年08月09日

○意外と知られていない オオシマトカゲ

オオシマトカゲ(幼体)

 バーバートカゲの名前はよく知られているのに、「オオシマトカゲ」のことを知っている人は意外に少ない。オオシマトカゲはなぜか知名度が低いのである。私は出前授業をすることが多いのだが、学校でよく見られる生き物としてオオシマトカゲの写真を見せると、ほとんどの子どもはバーバートカゲもしくはニジイロトカゲという。私が子どものときはあの類いのトカゲを「カナヘビ」と呼んでいたが、今はニジイロトカゲと呼ばれているらしい。
オオシマトカゲは日当たりのよい平地に生息する。海沿いの林や岩肌の斜面などで見掛けることが多い。幼体は金色のラインが入り、しっぽは青色。水色っぽい薄い色から少し濃い青色がグラデーションのように見えることが、ニジイロトカゲといわれる所以(ゆえん)なのかもしれない。成体になる頃には、オスはしっぽの青色がなくなるが、メスは一部そのまま残る。
今回、類似種のバーバートカゲに関する記述をする紙面の余裕はないため、ぜひ2種の識別方法などを調べてみてほしい。

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○夜に花咲く オオカラスウリ

オオカラスウリの花

ウリ科カラスウリ属のオオカラスウリ。東北地方南部から琉球列島にかけて分布するつる性の多年草である。島内では林道沿いや荒れ地などの日当たりがよい場所に生育し、樹木に絡まりながら一帯にびっしり生えていることも多い。葉の縁はギザギザしており、成長段階により葉の形が変わる。類似種のリュウキュウカラスウリは、葉の縁のギザギザはなく、ハート形の葉をしている。
夏から初秋にかけて花を咲かせる。夜に開花する植物といえば、サガリバナが知られているが、このカラスウリの仲間もそうである。ただ、オオカラスウリは朝の早い時間帯だと花が残っていることも多いため、花を観察・撮影したい人は早朝、または花が咲き始めていることのある夕方がおススメだ。花の時期が終わると、オレンジ色の実がなる。
根、種子、果実のそれぞれにさまざまな効用がある。咳(せき)や痰(たん)、便秘などに効果があり、漢方にも配合されているそうだ。

(平城達哉・奄美博物館学芸員)