奄美大島いきものがたり

2024年10月17日

ツマベニチョウの幼虫

 まるでヘビ ツマベニチョウの幼虫

子どもの頃、特に蝶類に興味があった訳ではなかったが、ツマベニチョウは知っていた。あの鮮やかなオレンジ色が子ども心にも強いインパクトを残していたのだろう。

チョウはそれぞれ食草が決まっており、成虫はその葉に産卵し、幼虫はそれを食べながら成長する。ツマベニチョウの場合はギョボク。しかし、島内にはギョボクがあちこちに自生しているわけではなく、植栽されているものの方が多い。まずはギョボクを見つけ、かじられた葉を見つけられれば、ツマベニチョウの幼虫に出会える可能性が一気に高くなる。

ツマベニチョウの幼虫は、まるでヘビに擬態したのかと思うような見た目をしている。葉の上についていることもあれば、裏側や枝にいることもある。成長段階によって大きいものも小さいものもいる。幼虫ばかりを探していると、葉に紛れている蛹(さなぎ)を見落としてしまいそうになることもある。成長のさまざまな段階で観察タイムがある。

◇  ◇

 日本一大きなドングリ オキナワウラジロガシの実

オキナワウラジロガシは奄美大島以南のいくつかの島に分布する常緑高木。湿潤な森林内に生育する。大木を支えるために板根も発達している。3~4月頃に開花する。10~11月頃に実る堅果は、「日本一大きなドングリ」として広く知られている。堅果の大きさは3~4㌢、重量は15~20㌘ほどにもなる。シイの実1個の重さが2~3㌘ほどであるため、なんと6~7倍ほどの重さになる。しかし、年による豊凶の差は大きく、ほとんど実らない年もある。そもそも奄美大島にはあまり生えておらず、身近に見られる環境も少ない。オキナワウラジロガシの堅果

大和村役場の裏山には国の天然記念物に指定されている「大和浜のオキナワウラジロガシ林」がある。入り口から徒歩15分ほどで巨木に到着する。遊歩道が整備されており、、結構な急斜面があったことを記憶している。ハブやハチの巣などに注意しながら、訪れてみてはいかがか。運がよければ、日本一大きなドングリが見られるかもしれない。そうでなくても、オキナワウラジロガシが放つ圧倒的な存在感を感じていただけるだろう。

(平城達哉・奄美博物館学芸員)