妊娠中のクロウサギ交通事故死 奄美市住用町
2019年01月11日
奄美市住用町の林道で昨年11月、妊娠中だった国の特別天然記念物アマミノクロウサギが交通事故で死亡していたことが分かった。環境省奄美自然保護官事務所が今月8日、回収した死骸を解剖し、おなかに胎児1匹を確認した。奄美大島で妊娠中のクロウサギの交通事故死が確認されたのは2015年に続いて2件目。同事務所は「繁殖中だった個体の事故死は残念。ゆとりのある運転をお願いしたい」と呼び掛けている。
死亡したクロウサギが見つかったのは、同市住用町神屋の林道神屋ダム線の入り口から約2キロ進んだ地点。11月23日午後9時ごろ、通り掛かった住民が道路脇に横たわっている個体を見つけ、同事務所に連絡した。
死亡したクロウサギは体重約2・4キロ、体長51・6センチ。外傷はなく、顎や背中、脚に交通事故によるものとみられる内出血があった。胎児は体重約100グラム、体長16・3センチ。同事務所は「いつ生まれてもおかしくない大きさだったのではないか」とみている。
アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島の固有種。奄美大島で2000~4800匹、徳之島で200匹前後が生息していると推定され、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に位置付けられている。
両島では15年以降、クロウサギの交通事故確認数が増加傾向にあり、17年には過去最多の34件(奄美大島26件、徳之島8件)に上った。奄美大島の18年の交通事故確認数は20件と、調査を開始した2000年以降で4番目に多く、多発傾向が続いている。
奄美大島ではマングース防除の効果などでクロウサギの分布域が拡大し、事故も増加しているとみられる。早瀬穂奈実自然保護官は「夜になるとクロウサギだけでなくいろんな生き物が道路に出てくる。スピードを落とすことで事故は回避できる」と注意を促した。