新種ハゼ2種、鹿児島大発見 奄美大島と加計呂麻島にも生息
2019年10月17日
鹿児島大学は16日、同大総合研究博物館の調査で新種のハゼ「アマミコイソハゼ」「ホデリイソハゼ」の2種を発見したと発表した。アマミコイソハゼは加計呂麻島、ホデリイソハゼは同島と奄美大島でも採取されている。同館館長の本村浩之教授は「奄美の生物の多様性があらためて証明された」と意義を語った。
アマミコイソハゼは成体で体長約1センチの小型種。体色が黄色みを帯び、逆Y字の模様があるのが特徴。屋久島、加計呂麻島、西表島で採取された。水深15メートル以下の岩場やサンゴ礁に生息している。名前は琉球列島の神話の神「アマミキヨ」が奄美群島で「アマミコ」と呼ばれることから命名された。
ホデリイソハゼは甑島、県本土、種子島、奄美大島、加計呂麻島で採取された。成体で体長約2センチ。第1背びれが伸びていないこと、背びれ基底部に二つの白色斑があるなどの特徴があり、15メートル以下の浅い海のなだらかな岩場の斜面に生息する。名前は古事記に登場する神「火照命(ホデリノミコト)」による。
アマミコイソハゼは10年以上前に県内で、ホデリイソハゼは2014年に奄美市笠利町手花部で採取されたが、新種の特定には至らず、同大大学院連合農学研究科の藤原恭司さん、兵庫県の研究者の鈴木寿之さんらを中心とした研究チームが1年以上かけて調べ新種と特定した。
藤原さんは「ハゼの研究は初めてで、小ささに戸惑った。新種として証明できてうれしい。今後も研究を続け新しい発見をしたい」と喜びの声を寄せた。本村教授は「奄美の魚類研究の歴史は明治にさかのぼるほど古く約1600種がいるとされているが、今後も新種が発見できる可能性がある」と期待した。
研究チームの論文は日本魚類学会が刊行する国際誌「イクティオロジカルリサーチ」の電子版に12日付で掲載された。