自然観察の手法学ぶ 来春、指導員養成講習開催へ 日本自然保護協会

2019年11月09日

身近な植物を通して自然観察の手法を学んだセミナー=8日、奄美市名瀬の県立奄美少年自然の家

身近な植物を通して自然観察の手法を学んだセミナー=8日、奄美市名瀬の県立奄美少年自然の家

  公益財団法人日本自然保護協会(東京都、亀山章理事長)は来春、同協会が認定する自然観察指導員を養成する講習会を奄美大島で開く。奄美では初開催。奄美市名瀬の県立奄美少年自然の家で8日、同協会主催の自然保護セミナーがあり、参加者らは講義や実習のプログラムを体験。自然の価値や仕組みに理解を深める観察会の手法を学んだ。

 

 自然観察指導員は、身近な自然環境を守るために、自然保護教育を担うボランティア。地域で休日などに観察会を開き、自然との触れ合いを通じて自然保護の大切さを伝える。全国で開催される講習会に参加することで資格を取得できる。

 

 セミナーには島内の観光関係者など9人が参加。同協会市民活動推進部長の高川晋一さんが自然観察指導員の活動や講習会について説明。来年夏を見込む奄美の世界自然遺産登録に向けて、「奄美の価値を子どもたちに伝える人を育てたい」と述べた。

 

 講義では、講師を務めた鳥取県立博物館主幹学芸員の清末幸久さんが、生物多様性がもたらす自然の恵み「生態系サービス」で人の暮らしが成り立っていると説明し、人間活動や外来種、地球温暖化など生物多様性を脅かす問題について「人が原因」と指摘した。

 

 自然観察会によって、自然を大事にする人や社会が育まれ、次世代への豊かな自然の継承につながるとして、「いろんな経験を持つ人の多様性の中で、自然が守られると素晴らしい」と呼び掛けた。

 

 野外で実習があり、参加者らはシイの木など身近な植物に触れながら、自然の成り立ちや五感を使って楽しむ観察手法を学んだ。

 

 参加した奄美市名瀬の男性(64)は「勉強したい気持ちはあるが、植物の名前はなかなか覚えられない。興味を持って自然を観察する感覚を養いたい」と話した。

 

 自然観察指導員の講習会は来年4月中旬、島内である。対象は18歳以上。参加費は2万円程度。2、3日間の日程で講義や野外学習があり、修了者に登録証や腕章などが発行される。