調査への意識も高めて サシバ春の渡り、初観察会 宇検村生勝
2023年04月03日
「サシバの渡り春の観察会」が2日、宇検村生勝の海岸沿い(通称・生勝公園)であった。主催したのは同村生勝出身の野鳥写真家で、サシバ愛護会関西~奄美ネットワーク代表の与名正三さん(71)。秋の観察会は毎年実施しているが、春の渡りの時期に観察会を行うのは今回が初めて。約15人が参加し、優雅に飛行するサシバの姿と島の春景色を観察した。
サシバはタカの仲間で体長約50センチ。東北から九州地方で繁殖し、秋ごろに南下して南西諸島や東南アジアなどで越冬する。環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類。与名さんによると、サシバは9月末から奄美へ飛来し、4月中旬まで越冬しているという。
参加者は双眼鏡やフィールドスコープを使い周囲を観察。観察できたサシバは数羽だったが、山の稜線(りょうせん)を風に乗り舞う美しい姿が見られ、時折「ピックイー」という特徴的な鳴き声を響かせた。観察会ではミサゴやコサギなども見られた。
与名さんはサシバの調査・研究に対し「自然の豊かさの指標となるのが鳥類だが、猛禽類の研究は遅れている。サシバの調査も一人の力では限界があり、協力者が必要」と強調。「保護の意識は高まっているが、調査意識も高めたい。今後学校などとも連携し、生息調査を行えたら」と語った。
奄美市崎原小中学校の鑪謙治校長(51)は「観察を通し、サシバが生息する環境や自然の豊かさを理解することにもつながると思う。遠足で宇検村を訪れ、児童生徒と共に参加するのもいいと思った」と話した。
宇検村企画観光課の辰島月美課長(58)は「釣りなどの子ども向けイベントと同時に観察会を開催できたら、サシバへの興味や関心も広がるのでは」と笑顔で話した。