野生シカの実態把握へ/喜界町

2018年01月09日

2016年8月末に志戸桶海岸近くに出没したシカ(提供写真)

2016年8月末に志戸桶海岸近くに出没したシカ(提供写真)

 喜界島で野生化したとみられるシカの目撃が相次いでいる問題で、駆除を進めている喜界町は2018年、無人の自動撮影カメラによる生息状況の実態調査に乗り出す。町はこれまでわなを使用して駆除事業を展開しているが、目撃場所が広範囲にわたり、生息頭数も把握されていない。担当の農業振興課は「まずは生息実態の把握が必要」とし、駆除の効率化へ足掛かりにしたい考えだ。

 自動カメラは3台購入する。同課によると、シカは町北部の志戸桶、佐手久、小野津や百之台などで多く目撃されており、これらの地域を中心にカメラを設置してシカの行動範囲や時間帯、実数に近い生息頭数などを調べたいという。

 シカによる被害や影響は、サトウキビの先端部がかじられるなどの食害が一部で発生している。専門家は「シカは木の葉や低地の草を食べるため、放置して頭数が増えた場合、森林の空洞化や裸地の増加など環境面への影響も懸念される」と指摘している。

 町は16年度の補正予算でわなを購入し、町の猟友会に駆除を委託。17年度に駆除事業を正式にスタートし、17年11月15日までにわなで20頭を捕獲した。同課は「生息実数は未知数」としており、カメラ設置による実態把握に期待している。

 同町では数年前から「シカを見た」との町民の声が聞かれる。人為的に持ち込まれた雌雄別々の個体が10年ほど前に逃げ出し、野生化して増えたとみられる。