100年ぶり絶滅種を発見 鹿大博物館研究チーム
2020年12月11日
鹿児島大学総合研究博物館などの研究チームはこのほど、奄美大島でイラクサ科の小低木ホソバノキミズが生育しているのを確認したと発表した。国内では絶滅したと考えられていたが、同島で約100年ぶりに再発見された。研究チームは「生息個体数に関する正確な情報を収集し、再度『絶滅』と評価されぬよう注意していく必要がある」としている。
ホソバノキミズは中国や台湾、ネパールなどに広く分布。国内では沖縄島で1887年、奄美大島で1910年と24年に分布の記録があるが、その後は自生が確認されていなかった。環境省のレッドリストで絶滅種に位置付けられている。
研究チームは奄美大島で植物の調査をしていた今年10月、標高30㍍の常緑樹林内の沢沿いでホソバノキミズを発見した。樹高1・5㍍、葉の長さ5~7㌢、幅1・5~3㌢。幅3㍍、奥行き2㍍ほどの範囲に数株の群落があったという。
枝を採集して分析した結果、葉の形や厚み、茎に剛毛が生えていることなど、形態の特徴から同種と確認。県自然環境保全協会の会誌「かごしまネイチャー」のオンライン版に11月3日付で論文を掲載した。
鹿大総合研究博物館の田金秀一郎特任助教は「思わぬ発見だった。奄美大島は固有種が多く、多様性が高い。調査すればまだ見つかっていない種が見つかる可能性が高い」と話した。
は葉=10月24日、奄美大島(田金秀一郎氏撮影)