カクチョウラン盗掘被害 奄美大島

2020年05月03日

カクチョウランの盗掘現場

カクチョウランの盗掘現場(提供写真)

 奄美大島の山中で2日、絶滅の恐れがあり、県の希少野生動植物保護条例で採取が禁じられているカクチョウラン約10株が盗掘されているのが見つかった。環境省と島内5市町村は大型連休中、盗掘防止に向けた合同パトロールを実施して監視を強化しており、同省は「許せない行為だ。絶対にやめてもらいたい」と訴えている。

 

投げ捨てられていた株(提供写真)

投げ捨てられていた株(提供写真)

 カクチョウランは高さが60㌢から1㍍余りにもなる大型の地生ラン。屋久島・種子島以南に分布。外側が純白、内側が赤褐色の花が華やかで美しい。近年乱獲によって激減し、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に位置付けられている。

 

 林野庁名瀬森林事務所の職員が同日、パトロールをしていた宇検村内の山中でカクチョウランが抜き取られているのを見つけ、連絡を受けた村の職員が現場を確認した。

 

 現地はカクチョウランの群生地。伐採されないようにテープを張って保護しており、環境省と村の職員が1週間ほど前につぼみを確認していた。数株は持ち去られたとみられるが、現場には投げ捨てられた株が残っていた。

 

 村企画観光課の藤貴文課長補佐は「守ってきた場所でこのようなことが起こり、大変残念。保護対策を強化していきたい」。同省奄美群島国立公園管理事務所の千葉康人世界自然遺産調整専門官は「野生生物は自然の中で楽しむもの。引き続き監視の強化を図りたい」と話した。