コロナ前水準に回復 金作原の利用状況報告 22年GWは大幅増 奄美大島

2023年02月17日

世界自然遺産

ゴールデンウイークの利用状況調査を行う関係者=2021年4月、奄美市名瀬の金作原国有林

奄美大島利用適正化連絡会議の会合が16日、奄美市役所であった。世界自然遺産登録に伴う観光客の増加を見据えて、認定ガイドの同行制や車両台数制限などの規制を導入した金作原国有林(奄美市名瀬)の利用状況報告があった。新型コロナウイルスの影響で利用者は減っていたが、2022年のゴールデンウイーク(GW)は1日当たりの平均車両台数が17台、利用者数は109・6人と、調査を開始した17年以降で最多となった。事務局の県奄美世界自然遺産室は、年間を通じた利用状況も「コロナ前の水準に戻りつつある」としている。

 

金作原一帯は、亜熱帯照葉樹の森に希少な動植物が多い世界自然遺産地域。奄美大島を代表する自然散策スポットとして知られる。利用規制は、観光客の増加に伴う環境負荷を軽減し、混雑を緩和して質の高い自然体験の提供を図ろうと、官民の関係者らで構成する同連絡会議が自主ルールを定め、19年2月に試行的に導入した。

 

会合は新型コロナウイルスの影響で中止や書面開催が続き、対面では4年ぶり。関係者ら約30人が出席した。

 

県の報告によると、GWに現地で行っている利用状況調査では、22年は1日当たりの平均車両台数と利用者数が、最多だった18年の15・5台、19年の93人をそれぞれ上回った。21年の10・8台、56・5人から大幅な増加がみられ、「世界自然遺産登録の反響や、新型コロナウイルス対策の移動規制が緩和されつつあることが要因」と分析した。

 

調査期間中にガイドが同行していない自家用車やレンタカーも計4台確認されたが、調査員から自主ルールの説明を受け、利用を見送ったという。現地で駐車台数の上限に定めた8台を超えた時間帯もあり、ルールの周知と超過利用の防止策を課題に挙げた。

 

名瀬市街地方面から金作原方面へ向かう主要ルートの林道知名瀬線と市道奄美中央線の三差路で市が整備中のバイオトイレは、半導体不足の影響で工期を延期し、今年5月ごろに完成予定。市の担当者は募金箱の設置など「使用者に負担をお願いできる仕組みを検討したい」としている。

 

参加者から「(金作原に)住民はほとんど行っていない。ガイドを頼んでしかいけない」として、地元住民が利用できる仕組みを求める意見があった。ガイド関係者から「地元向けのツアーをやってもいい。希少種のことなど勉強会をして皆さんと共有できれば」という提案があった。