絶滅危惧のダイサギソウ、モダマ 盗掘・盗採か 奄美市の山中

2021年10月17日

盗採されたとみられるモダマ(左)=5日=、豆果が切り取られたような跡=12日(写真はいずれも奄美市内、同市提供)

  奄美市の山中で16日までに、希少な植物2種がそれぞれ自生地から相次いでなくなり、盗掘・盗採された可能性があることが分かった。ラン科のダイサギソウとマメ科のモダマで、ともに絶滅の恐れがあり、奄美大島5市町村の希少野生動植物保護条例で採取が禁じられている。奄美市の担当者は「世界自然遺産登録で注目が集まる中、非常に残念。関係機関でパトロールなど保護対策の強化を検討したい」と述べた。

 

 ダイサギソウは千葉県以西に分布。秋に美しい純白の花を咲かせる。開発や園芸採取などで減少し、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類。

 

 奄美市によると、今月6日に地元の報道関係者から「ダイサギソウが盗掘された可能性がある」と通報があり、環境省、奄美市、奄美署が現地を確認。2株がなくなっていたほか、周辺の4カ所に掘り返されたような跡があった。同じ場所では2015年、18年にもダイサギソウの盗掘が確認されている。

 

 モダマは屋久島、奄美大島に分布。秋から冬にかけて長さが1・5メートルにもなる巨大な豆果を付ける。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類。自生地はごく限られ、奄美市は文化財に指定して保護している。

 

 島内5市町村のパトロール員が今月12日、道路脇にあった豆果1本が鋭利な刃物のようなもので切り取られているのを発見した。5日まで豆果が付いているのが確認されており、1週間以内に被害に遭ったとみられる。

 

 島内では今月初旬、龍郷町でもダイサギソウが盗掘されたとみられる事案が発生しており、奄美市環境対策課の岡翔太主査は「奄美大島の動植物は法律や条例で捕獲などが禁じられているものが多数ある。地域の宝として野生のままの姿を楽しんでほしい」と呼び掛けた。

 島内5市町村は13年10月、共通の希少野生動植物保護条例を制定し、2種を含む動植物57種の捕獲や採取を禁じた。違反した場合は1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。