金作原で夏からルール試行=奄美大島

2018年03月23日

金作原国有林周辺の利用ルールの実証実験について報告があった会議=22日、奄美市名瀬

金作原国有林周辺の利用ルールの実証実験について報告があった会議=22日、奄美市名瀬

  奄美大島利用適正化連絡会議の会合が22日、奄美市名瀬の奄美会館であった。関係者ら約40人が出席。同市名瀬の金作原国有林周辺で今年2月に行った利用ルールの実証実験について事務局の県自然保護課が報告。世界自然遺産登録による観光客の増加を見据え、実験結果を踏まえて、一般車両の通行規制や認定ガイドの同行などの利用ルールの運用を今年夏ごろから試行的に開始する方針を決めた。

 

 実証実験は2月16~22日に実施。国有林内を横断する金作原林道に接続する市道奄美中央線など約9・3キロ規制区間を設け、一般車両に乗り入れの自粛を要請し、観光客には奄美群島エコツーリズム推進協議会の認定ガイドの同行を求めた。同時間帯の車両の利用はガイド8台、貸し切りバス2台まで、利用時間は120分までとした。

 

 報告によると、期間中の利用台数は事前に登録したガイド車両34台、貸し切りバス5台の計39台のほか、乗り入れの自粛を要請した一般車両15台のうち、引き返した8台を除く7台がそのまま金作原方面へ向かった。

 

 今後の計画では、一般車両の通行規制やガイドの同行、車両の利用台数、時間制限など実験に基づいたルールの試行を今年の夏休み期間をめどに開始する。4~5月ごろに会合を開いて具体的なスケジュールを決める。

 

 実験ルールに法的拘束力はないことから、県自然保護課は「(一般車両への)自粛の依頼では限界があった」と課題を挙げ、「将来的には法令を根拠としたルールの導入を目指す」との方針を示した。

 

 県自然保護課の大西千代子・奄美世界自然遺産登録推進室長は実証実験について「比較的スムーズにできた」と取り組みを評価し、「(利用ルールについて)周知が不十分な部分があったので、方法を検討したい」と述べた。

 

 金作原周辺は天然の亜熱帯照葉樹の森に多様な動植物が生息・生育し、今年夏の登録を見込む世界自然遺産の候補地となっている。市街地からも近く、奄美大島を代表する自然観察スポットとして人気が高く、訪れる観光客は年々増加している。

 

 会議は環境省、林野庁、県、奄美市、民間団体などで昨年2月に設置。金作原の自然環境の保全を図りながら、観光客が質の高い自然体験ができるように、利用ルールの導入に向けた対策を協議している。