豊かな自然の魅力紹介 世界遺産2周年でイベント 鹿児島市の平川動物公園

2023年08月06日

飼育されているルリカケスを見ながら生態などを学ぶ来場者ら=7月30日、鹿児島市の平川動物公園(提供写真)

鹿児島市の平川動物公園で7月30日、奄美の世界自然遺産登録2周年を記念したイベントが開かれた。同園で飼育している国の天然記念物のアマミトゲネズミやルリカケスについて飼育員が解説したほか、奄美市立奄美博物館の平城達哉学芸員が奄美の生態系の特徴や野生の生き物たちの様子を紹介。親子連れなど約40人が参加し、豊かな自然の魅力や動物園の役割などを楽しく学んだ。

 

日本動物園水族館協会と環境省は希少種の種の保存などを目的に、生育地以外の施設などで飼育する「生息域外保全」を進めており、平川動物公園では飼育下の繁殖を目指して国の天然記念物のアマミトゲネズミやルリカケスなどを飼育している。

 

同園ではこのほか、アマミノクロウサギやサシバ、オオトラツグミ、リュウキュウコノハズク、ハヤブサの7種が飼育されている。鮫島弘士飼育技師は「生きた個体を通じた教育活動や、傷病個体の受け入れ、研究調査に向けた飼育・繁殖技術の確立などに取り組んでいる」と述べ、動物園の社会的役割について説明した。

 

平城学芸員はアマミトゲネズミが自然の中でシイの実やコオロギを食べていることや、木の根元に空いた穴などを巣として利用していること、ルリカケスが木の隙間などに食べ物を隠す「貯食行動」を取ることなどを紹介。飼育員とのトーク形式で、飼育個体との共通点や違いなどを語った。

 

同園で飼育している奄美の希少種の一部は一般にも公開されており、参加者は飼育場の中を動き回るルリカケスなどの様子を間近に見ながら専門家の話に耳を傾けていた。