「平瀬マンカイ」記念式典で披露 故保存会長の遺志継ぐ 住民ら練習励む 龍郷町秋名・幾里
2025年02月12日
芸能・文化

記念式典本番に向け平瀬マンカイを練習する龍郷町秋名・幾里地区の住民ら=9日、龍郷町の秋名コミュニティーセンター
西東(にしひぎゃ)の稲魂(にいだま)招き寄すろ│。龍郷町りゅうゆう館で16日にある町制施行50周年記念式典のオープニングで、同町秋名・幾里地区に伝わる稲作行事「平瀬マンカイ」が披露される。同地区では、出演する住民らが本番に向けて練習に力を入れている。
平瀬マンカイは海のかなたの楽園「ネリヤ」に祈りをささげ、来年の豊作を祈る祭事。旧暦8月の初丙(はつひのえ)に当たる日の夕方、同地区の海岸で行われ、向かい合う岩の上で男女が歌を掛け合い手舞いを繰り広げる。
同日早朝に行われる「ショチョガマ」とともに旧暦8月のアラセツ(新節)行事として知られ、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。
行事は「秋名アラセツ行事保存会」が継承を担っているが、先月3日、会長を長年務めていた窪田圭喜さんが84歳で亡くなった。現在は会長不在となっている。
記念式典に向けた練習は1月から週2回ほど実施。本番が1週間に迫った9日夜は、秋名コミュニティーセンターに住民ら約30人が集まった。岩の上の歌の掛け合いから、浜辺の八月踊りまでの一連の流れを繰り返し、歌詞や振りなどを確認しながら真剣な表情で練習に励んでいた。
保存会副会長の隈元和範さん(66)は「窪田さんが当たり前のように(継承活動を)引っ張ってくれていたが、突然亡くなり寂しい。遺志を継ぎ、大事な文化財を集落全体で守っていきたい」と話した。