シマ唄とフラメンコがコラボ 鹿児島市・徳田さん、喜界島出身・永さん
2021年02月24日
芸能・文化
奄美の島唄とスペイン発祥の伝統舞踊フラメンコを合わせた〝異色のコラボ〟が注目を集めている。島唄を担当するのは喜界町出身で鹿児島市在住の唄者・永志保さん(39)、フラメンコを踊るのは鹿児島市のフラメンコ舞踊家・德田志帆さん(39)。活動を始めて3年余り。華麗な手拍子と三味線の音色が融合し、情熱的でエキゾチックな世界を醸し出している。
德田さんは、幼少期に警察官だった父親が龍郷町の秋名駐在所勤務となり秋名集落に移住。当時生まれた妹は、地名にちなんで「明奈」と名付けられた。20代でフラメンコにのめり込みスペインへ。本場で勉強を重ね、4年前に鹿児島市に帰郷した。フラメンコの教室を開く傍ら、舞踊家として自分にできることはないか模索した。
フラメンコはスペインの流浪の民ロマの文化と、スペイン南部の古い歌が融合されて生まれたとされる。ロマはヨーロッパ各地で迫害された歴史があり、その悲しさを歌った曲も多い。古くは歌にリズムもなく、人々の「語り」がやがて歌になっていったという。音楽的な成り立ちも、即興で踊られる雰囲気も、幼少期に奄美で見た島唄の文化と似ていることに気付いた。
フラメンコと島唄。二つの伝統芸能の魅力を融合するステージはできないかと模索していたところに、知人から永さんを紹介された。偶然にも同じ「しほ」という名前に同じ年齢。意気投合し、音楽活動に乗り出した。
ゆったりした曲調の島唄と三味線に、フラメンコの舞いを合わせることは困難の連続。ヒントになったのは、動画で見たスペインの子守歌(ナナ)に合わせて踊られたフラメンコ。試しに自身で踊ったナナのフラメンコに朝花節を流したところ、偶然にも曲の長さもリズムもぴたりと一致した。意外なところからヒントを得て、他の島唄での振り付けにもいかされていった。
明奈さんがプロデューサーを務め毎年、鹿児島市内で公演。好評を得てきたが、新型コロナウイルスの影響で今年度は公演ができず、映像作品を制作することにした。
桜島や、県本土の海岸などをロケ地に、朝花節、豊年節、ヨイスラ節の3曲を収録。島唄の歌詞の意味や自然を感じながら、即興で生み出されていく德田さんのしなやかな舞いと靴音が、永さんの情緒あふれる歌声と重なり、新たな境地を開いている。
德田さんは「フラメンコも島唄も根源にある情熱は同じだと感じる。両方の伝統芸能の魅力を感じてもらいたい。いつかは奄美や世界中で公演したい」と話している。
動画「シマ唄とフラメンコ」はインターネットのユーチューブで視聴できる。