デジタル版「大琉球語辞典」公開 ITで文化継承テーマに長田須磨シンポ 大和村

2024年11月03日

芸能・文化

一般公開された「大琉球語辞典」の使い方を説明する狩俣繁久琉球大学名誉教授=2日、大和村防災センター

大和村出身の女性民俗学者・長田須磨の功績から奄美の文化などについて考える「第3回長田須磨シンポジウム」(奄美文化継承プロジェクト、大和村共催)が2日、同村防災センターであった。テーマは「ITによる文化継承と発信」。今月1日に一般公開されたデジタル版「大琉球語辞典」について紹介があり、参加者は新しい形の文化保護と継承について理解を深めた。

 

長田須磨(1902~1998年)は48歳で柳田國男主宰の女性民俗研究会に参加し、研究の道へ。古里の大和村大和浜の言葉や風習をまとめた「奄美方言分類辞典」(上下巻)や「奄美女性誌」などを刊行し、奄美の民俗研究と継承に尽くした。

 

シンポジウムは、長田の業績を基に奄美の文化を継承しようと、長田のおいで奈良女子大学名誉教授の見目正克さんが各方面に呼び掛け、2022年から年1回開催している。

 

初めに、琉球大学名誉教授でしまくとぅば普及センター長の狩俣繁久さんが「大琉球語辞典」について説明した。「奄美方言分類辞典」を含む1万5000語クラスの辞書10冊を収載予定(現時点では6冊)。用例に加え、著者本人が録音した音声も聞くことができるという。狩俣さんは「いつでもどこでも誰でもアクセス可能。長田さんの声を聞きながら昔の奄美大島、大和村の風習を想像しながら利用してほしい」と呼び掛けた。

 

続いて、奄美の民謡と昔語りに関するアナログ記録のデジタル化に取り組んだ鹿児島県立短期大学の倉重賢治さんと岡村俊彦さんが登壇。東日本大震災で多くの文化財が失われたことなどに触れ、デジタルアーカイブ化の重要性を強調した。

 

見目さんは同プロジェクトの経緯を語り、今後も奄美文化の発信を目的にシンポジウムを実施していく考えを示した。

 

今回のシンポジウムには約40人が参加し、動画配信も行われた。

 

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