一村の魅力伝える 栃木で生誕110年記念講演
2018年08月28日
芸能・文化
独特の画風で奄美大島の自然を描き残した日本画家、田中一村(1908~77年)の生誕110年記念講演会が25日、出生地栃木市の栃木市民文化会館で開かれた。一村研究第一人者の美術評論家、大矢鞆音さんが「田中一村の世界~南の琳派への奇跡」と題し、一村作品の変遷や特徴を丁寧に解説した。
栃木市民による一村の顕彰団体「田中一村記念会」が主催した。約400人の聴衆は、一村の「栃木・東京時代~千葉時代~奄美第一期~奄美第二期」を作品と共に振り返った。各時代の人々との出会いや日本画界との関わりには大きな関心が寄せられた。
参加者の一人は「大矢先生の聞き手に合わせた解説に一村を身近な存在として感じることができた。奄美に足を運んでみたい。一村が彼の地で何を感じ、何を考えたのか。島の方々の優しさが彼の気持ちを支えたのではないか」と話した。
講演終了後、大矢さんが南海日日新聞での長期連載をまとめた著書「評伝・田中一村」のサイン会が行われた。
田中一村記念会の大木洋三会長によると、講演会は当初、小ホールでの開催を予定していたが、収容人数を超える来場希望者があり、大ホールへと当日変更した。
大木会長は「大矢先生の解説で、多くの方が一村への理解を深めることができたと思う。今後も積極的に一村の魅力を多くの方に伝えるお手伝いを続けたい。生誕の地である栃木と奄美との懸け橋交流も続けたい」と語った。
同会は一村の命日(9月11日)には栃木市旭町の満福寺で墓前祭「一村忌」を開く。