少女マンガの世界展始まる 漫画家の里中満智子さんがトーク 8月13日まで、無料 一村美術館

2023年07月23日

芸能・文化

12人の作家の作品がずらりと並んだ「少女マンガの世界展」=22日、奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館

奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館で22日、「少女マンガの世界展in奄美」が始まった。戦後から現代に至るまで少女漫画の発展に貢献してきた作家たちの作品55点が並び、訪れた多くのファンを魅了した。初日はオンライントークイベントがあり、漫画家の里中満智子さんが「男性目線のけなげでか弱い女の子ではなく、自分の力で幸せを見つける少女を描きたいと思い活動してきた」などと語った。展示会は8月13日まで。無料。

 

 

里中満智子さんが少女漫画家として大切にしてきたことなどを語ったオンライントークイベント=22日、奄美市笠利町

NPO法人アマミーナ(徳雅美理事長)主催。オープニングイベントは奄美市名瀬の奄美看護福祉専門学校エイサー部による演舞でスタートし、里中さんが「職業としての少女マンガ家」の題で講話した。

 

里中さんは1948年、大阪府生まれ。高校生だった64年に16歳でデビューし、現在も漫画家として活躍しながら大阪芸術大学教授や公益社団法人日本漫画家協会理事長として後進育成に努めている。代表作に「あした輝く」「アリエスの乙女たち」「天上の虹」など多数。

 

里中さんは漫画家を志したきっかけやデビュー当時の少女漫画を取り巻く環境を振り返り、「王子様に助けてもらうのではなく、自分で考え、決断しながら人生を歩む姿を描くことを大切にしてきた。若い世代にも、自分がどうしてもやりたいこと、今の世の中に足りないことを描いてほしい」と語った。

 

展示会は2005年にスタートした少女漫画展示会プロジェクトの一環。11年に始まった第2弾には松本零士、萩尾望都、美内すずえ、よしながふみら戦後から現代までの著名な作家12人が作品を寄せ、「少女マンガの変遷は日本の女性史そのもの」というテーマで北米、南米、ベトナムや韓国など6カ国30カ所以上を巡回した。奄美大島は最終会場。

 

展示会場には島内外から年齢や性別を問わず多くのファンが訪れ、一つ一つの作品に見入っていた。奄美市名瀬から職場の仲間4人で来場した60代の女性たちは「まさに展示してある作品を読んで大人になった世代。どれも懐かしい」「女の子の憧れが詰まった絵だった。貴重なものを見られてうれしい」と興奮気味に話していた。