島の宝「方言」を次世代へ 危機言語サミット奄美大会
2020年02月24日
芸能・文化
「ディ!ワキャダカ、ナキャダカ、クヮンタムィ、マガンタムィ、マージン、キバティ、イキョーロ(さあ!私たちも、あなたたちも、子どものため、孫のため、一緒に頑張っていきましょう)」
2019年度危機的な状況にある言語・方言サミット(文化庁、鹿児島県、奄美市など共催)は最終日の23日、奄美市名瀬の奄美文化センターで各地の言語・方言の現況や伝承の取り組みなどについて報告があった。島内外から約千人が来場。島の宝である方言を日常生活で積極的に使い継承につなげていくことを確認し、次世代への方言伝承を誓う大会宣言を採択した。
同サミットは国連教育科学文化機関(ユネスコ)が消滅の危機にあるとした国内8言語の状況改善につなげる目的で2014年度から開催している。奄美大会は22日から2日間の日程で実施。最終日は各地の言語・方言の現況や伝承活動について報告があったほか、奄美大島周辺の方言の聞き比べや奄美市の児童生徒による継承活動の成果発表も行われた。
国立国語研究所の木部暢子氏と北海道大学アイヌ・先住民研究センターの北原次郎太准教授は八丈・奄美・琉球・アイヌの言語・方言の現況を報告。辞典やカルタ、絵本、教科書など方言資料の活用例などを紹介した。
奄美市の名瀬幼稚園と東城小中学校、市小学校、佐仁小学校が島唄や八月踊り、方言での校内放送などを取り入れた伝承活動を紹介。保護者や教員も一緒に楽しみながら、日常的に方言で話すことの大切さを強調した。
聞き比べでは奄美大島と加計呂麻島、与路島の9地区の方言を披露した。
同市のコミュニティーFM「あまみエフエム ディ!ウェイヴ」は方言番組「シマグチNEWSシマユムTIME」を実演。パーソナリティーの渡洋子さんと「シマユムタ(方言)伝える会」の会員が軽快な方言トークを展開した。
琉球大学の猪俣繁久教授は総括で「奄美の継承活動の現状は入り口としての取り組みが多い。今の状況が続けば方言は消えてなくなるだろう」と指摘。今後の取り組みとして「学校などの継承活動を地域が支え、無理なく継続できるシステムの構築が必要だ」と提案した。
佐仁八月踊り保存会と佐仁小学校児童が舞台で踊りの輪を広げた後、奄美市在住の日置幸雄さん、里村強志さん、原二葉さんの三人が大会宣言を高らかに読み上げた。