島唄の変容など考察 2年ぶり、40人参加 奄美郷土研究会例会

2021年12月15日

芸能・文化

例会で郷土の先人や島唄について学ぶ参加者ら=12日、奄美市名瀬

奄美郷土研究会(森紘道会長)は12日、奄美市名瀬の県立奄美図書館で第370回例会を開いた。同会会員ら約40人が参加。奄美郷土研究の先駆者である文英吉の業績や奄美民謡の変容などについて学んだ。

 

同会が1958に設立されてから毎年数回行っている研究報告会。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止したため、2年ぶりの開催となった。

 

今回のテーマは「文英吉氏とその時代」。法政大学沖縄文化研究所研究員の恵原義之さんと奄美民謡武下流鹿児島同好会講師の福山尚史さんが講師を務め、自らの研究について文献資料や調査結果を基に報告した。

 

研究報告では恵原さんが文英吉の生涯を年表で振り返り、ジャーナリスト、社会運動家、唄者、民謡研究家などの多様な経歴を紹介。奄美の島唄をまとめた初の研究著書の出版や収録活動などの業績についても語った。

 

福山さんは「奄美大島のしま唄の変容と継承について」をテーマに発表。集落の音楽としての島唄が芸術性を追求するステージ音楽に変容している現状を指摘し、人と人による集落間の交流で生まれた本来の島唄をしっかり理解した上で新しい島唄も発展させることが大切だと訴えた。

 

質疑応答・討論の時間もあり、来場者からは島唄の定義についての質問や音階の変化・測定方法に関する意見などが寄せられた。

 

同市笠利町から参加した川上肇さん(71)は「奄美の音楽などについて深い話が聞けて驚き、興味が湧いてきた。(郷土研究を)もっと掘り下げる人が増えてほしい」と話した。