沖縄のピカソ遺作展 浦添市美術館、高島さん(喜界島)の作品ずらり
2021年03月29日
芸能・文化
鹿児島県喜界島出身で「沖縄のピカソ」と高い評価を受けた故高島彦志さんの遺作展が2~7日、沖縄県浦添市美術館で開かれた。期間中の来場者は延べ1200人を超え、多くの人が高島さんのユーモアあふれる作品の数々を楽しんだ。
会場には、第18回上野の森美術館大賞展の賞候補「南風の記憶2000」(2000年)はじめ、大小さまざまな作品約150点が展示された。
「南風の記憶」と題した作品群では、人やシーサー、時計や羅針盤などがユーモラスにデフォルメされ、ポップで幻想的な世界がキャンバスいっぱいに広がる。画材に沖縄の瓦屋根に使われる琉球しっくいを取り入れ、アクリル絵の具の鮮やかな色合いと相まった軽妙洒脱な表現が特徴だ。
自らも油絵を描くという60代の女性は、「とても色鮮やかで、遊び心に富んでいる。しっくいを使うという発想も面白い。参考にしたい」と作品に見入っていた。
高島さんは1950年生まれ。幼い頃に家族で沖縄に移住し、琉球大学美術工芸科へ進学。卒業後は琉球放送で美術デザイナーとして勤めながら創作活動を続け、県内外で受賞を重ねた。2019年に病気のため68歳で逝去。新たな展開が期待されていた矢先だった。
遺作展は、高島さんの友人や画家仲間による「高島彦志プロジェクト」(新城安哲代表)が主催した。昨年3月に「高島彦志作品集」を刊行し、遺作展も予定していたが、新型コロナウイルスの影響で延期した。今回、1年越しの開催となった。
プロジェクトの新城代表によると、期間中の来場者は1日当たり200人以上。同規模の展示会に比べると3倍ほど多いという。新城代表は「家族連れの一般客が多く、子どもも楽しめる作品」と話し、「いつか奄美でも高島彦志展示会をやりたい」と期待を寄せた。
会場を訪れた沖縄喜界郷友会の宮平良廣さん(68)は「精神的なつながりを感じる。働きながらこれだけの作品を残したことはすごい。島の誇りだ」と話した。