集落構造から歴史考察 「いいシマ学」開講 大和村中央公民館
2024年05月19日
芸能・文化
大和村中央公民館の公開講座「大和村11集落(いいシマ)学(環境文化講座)」の初回講座が18日、同村防災センターであった。講師は奄美博物館の元館長で、今年4月に大和村教委に着任した高梨修学芸員。村内全11集落について、年間を通して神山や神道(かみみち)などの「空間構造」を集落ごとに把握し、そこから分かる暮らしや文化について知識を深める。
高梨学芸員は東京都・国分寺市出身。奄美大島在住歴32年で、風土と心の環境文化論を専門分野とする。
講座は対話形式で、月1回のペースで開く予定。初回講座には村民ら16人が参加し、大和浜集落の構造から歴史を考察した。
高梨学芸員は同集落について、「最大の特徴は道路が碁盤の目のようになっていること。薩摩藩の時代に代官がいた奄美市笠利町の赤木名地区以外では見られない方形区画街路になっている」と説明。
理由や整備時期については不明とする一方、「歴史を1801年までさかのぼると、薩摩藩は南大島の統治を高めようと、赤木名から名瀬に代官の仮屋を移している。その際、大和浜にも仮屋か出先をつくるつもりがあったのかも」と推測した。
高梨学芸員によると、各シマ(集落)には、神山や神道に加えてトネヤやアシャゲ、イジュンゴなど、骨格となる空間構造があり、環境文化を学ぶにはそれらを把握することが重要。墓地の位置関係に有力家との関係が反映されているのも奄美・沖縄の特徴で、古い墓石も大事な歴史資料になるという。
高梨学芸員は「長く続いてきたシマの伝統的な暮らしをよく知る世代にお話を聞いて、できるだけ記録に残しつつ、継承されるように調べていきたい。講座は皆さんとそういう情報を交換できる場になれば」と話した。