伝統の大蛇、宙を舞う 知名町、殿智神社で奉納

2019年10月16日

芸能・文化

左に建っている社殿の屋根を飛び越えそうなほど高く宙を舞う大蛇=14日、知名町上平川

左に建っている社殿の屋根を飛び越えそうなほど高く宙を舞う大蛇=14日、知名町上平川

  県指定無形民俗文化財の上平川大蛇踊りが14日、知名町上平川の殿智(とぅぬち)神社で奉納された。約10メートルの3本の竿に大蛇を吊り下げて操作する大仕掛けの野外劇。社殿の屋根を飛び越えんばかりに宙を舞う大蛇を、大勢の見物人が息をのんで見守った。

 

 同神社は「大蛇踊り」を中国から伝えたとされる幸村政孝を祭り神として1954年建立。台風被害のたびに再建され、2013年に現在の鉄筋コンクリート造りの社殿が完成した。

 

 旧暦1、5、9月の各15日に例祭が営まれ、9月は特に盛大に行われる。集落民によると、これまでの例祭では、神社境内が手狭だったため「大蛇の舞」は省かれ、御前風(ふくらしゃ)や、参列者による総踊りのみ奉納してきた。

 

 今年、神社隣の土地を造成して会場を拡充。今回、同神社で大蛇の舞が初めて奉納された。この日は風が強かったため、大蛇が火を吹く場面は省いた。

 

 上平川大蛇踊り保存会の西村兼武会長(70)は「殿智神社と大蛇踊りには深い関わりがあり、この神社で、大蛇踊りの全て(の場面)が披露できることを大変うれしく思う。皆さんの協力のおかげ」と感謝した。