島の歌や踊り盛り込み上演 徳之島と与論島の劇団が共演 徳之島町

2022年11月03日

芸能・文化

陽気な掛け声と踊りで客席を沸かせたイッサンサン=10月29日、徳之島町文化会館

徳之島と与論島の劇団が共演する演劇祭が10月29、30の両日、徳之島町の町文化会館であった。29日の公演には島内から約350人の観客が訪れ、生身の人間が演じる舞台演劇の魅力を堪能。田植え歌や井之川夏目踊りなど徳之島伝統の歌や踊りを盛り込んだオリジナル劇を楽しんだ。

 

演劇祭は同館と与論島の劇団「野生の島人」が主催。同劇団は文化庁の戦略的芸術文化創造推進事業を活用し、演技指導に演出家の小池博史さんを迎えて2018年度に発足。翌年には徳之島町の劇団「海と大地」も加わり、それぞれの歴史文化をテーマとしたオリジナル劇の創作に取り組んできた。

 

「海と大地」の演目は「先祖様(うやほうがなし)の紡ぎ唄」。劇団員13人のほかに井之川夏目踊り保存会、犬田布イッサンサン子ども育成会の子どもたちも出演。伝統の田植え歌や踊りを交えながら出演者が繰り広げるコミカルなやりとりに、会場からは自然に笑いや手拍子が湧き起こった。

 

「野生の島人」は与論の自然や創世を題材にした「波打ち際の島人たち」を上演。ライブ演奏を効果的に取り入れて与論の精神世界を神話調で表現した。

 

母親と友人の出演を見に来たという實辰姫さん(犬田布小5年)は「お母さんが固くならずに自然体で演技できていたのがびっくり。与論の人たちの音楽が素晴らしかったし、友達が楽しそうに踊っていたので私もうれしくなった」と述べた。

 

「海と大地」の眞形綾子さん(52)は「コミカルだけどご先祖さまを敬う内容の劇。徳之島の人に染み付いている思いがテーマだった」と演目について説明し、「練習は半年ほど。大変だったが役を演じる楽しさを味わえた」と笑顔を見せた。

 

文化庁の事業が今年度で終了するため、同事業での公演は今回の徳之島公演が最後になる。小池さんは「徳之島も与論もゼロからのスタートだったがともにオリジナルの劇を上演するまでになった」と成長を評価し、「この経験を生かして今後も楽しみながら演劇を続けてほしい。私の指導はいったん終了するが、機会があればまた来島して今後を見守りたい」と〝教え子〟たちへエールを贈った。