5年がかりの大作、お披露目へ 31日から鹿児島市立美術館で公開 奄美市の画家・久保井博彦さん
2025年05月21日
芸能・文化

ハマイヌビワを描いた「鼓動」(1552×324センチ)=濱田康作さん撮影
奄美市名瀬の画家・久保井博彦さん(77)。心筋梗塞と闘いながら5年がかりで描いた作品「鼓動」の全体像が、このほど写真に収められた。赤土をバックにカニが足を拡げたようなハマイヌビワの巨木を描いた。幅15・5メートル、高さ3・2メートル。F130号(194×162センチ)のキャンパスを16枚組み合わせた大作。31日から鹿児島市立美術館で開かれる第40回「む展」でお披露目される。
2016年2月に奄美市住用町の山奥を片道2時間半かけて歩き、大地に根を張るハマイヌビワを目にした。高さ約14メートル、枝葉や根を拡げると約40メートル。迫力と生命力を描きたいと現場でスケッチ。翌年夏から制作に取り掛かった。途中、新型コロナ禍や08年から患っている心筋梗塞などに悩まされながら、22年に完成した。

久保井博彦さん=奄美市名瀬入舟町のアトリエ
発表の機会を待っていたが、作品が大きいため展示場所が見つからず、久保井さん自身も全体像を見ることなく、作品はアトリエに保管されていた。昨年5月、鹿児島市立美術館の「む展」に出品することが決定。出展を前に5月13日、奄美文化センターで写真家の濱田康作さん(77)が作品を撮影した。
幅15メートルの大作とあって、作品をキャンパス4枚ずつ4回に分けて撮影。パソコンに画像を取り込んで組み合わせ、全体像が浮かび上がった。
「む展」は1982年、武蔵野美術大学卒業生を中心に鹿児島市で始まった。久保井さんは29日に上鹿し、展示作業から参加する。「私自身も展示した全体像を見るのは初めてで楽しみにしている。巨木も血液のように水を循環させて生命を鼓動させている。圧倒的な生命力を体感してほしい」と話す。同展は6月8日まで。6月4日は定休日。