「古志大根」を残そう 児童生徒が校内に植え付け 伝統野菜の魅力学び栽培 篠川小中学校
2022年10月20日
子ども・教育
瀬戸内町の篠川小中学校(吉鶴正樹校長、児童生徒9人)で19日、伝統野菜「古志大根」に関する講話と種の植え付けがあった。講師は鹿児島大学農学部付属農場の技術専門職員、中野八伯さん(42)。児童生徒らは伝統野菜の魅力について学び、おいしく育つよう願いながら校内の菜園に古志大根の種を植えた。
伝統野菜とは、各地域で古くから栽培されている在来品種。戦後、食料不足解消のために短期間でたくさん収穫できる「F1品種」の野菜が普及したことで、伝統野菜の栽培者が減少した。中野さんによると、鹿児島県には伝統野菜が110種類ほど残っており、そのうち約7割が奄美群島のものだという。
古志大根は同町古志集落発祥の伝統野菜。栽培期間は5カ月ほど。根の上部が薄い赤色で、葉の部分が大きいのが特徴だ。昨年12月、唯一の地元栽培者が亡くなったことを受け、子どもたちに地域の野菜を残してもらおうと中野さんが同校に栽培を提案した。
講話では中野さんが伝統野菜の歴史や魅力を解説。古志大根について▽苦みと甘みが混ざった濃い味▽煮崩れしづらい▽すぐに火が通る-などの良さを挙げ、「お供え物など、昔から地域の文化に根付いている大根。絶滅させないため、古里の土で育てよう」と児童生徒らに呼び掛けた。
この日は中野さんが鹿大付属農場で栽培・採取した古志大根の種約40グラムを用意。児童生徒らは校内の菜園にうねをつくり、マルチビニールをかぶせた上から50センチ間隔で穴を開けて、5~6粒ずつ丁寧に植え付けた。
中学2年の重信莉々子さん(14)は「(古志大根を)初めて知った。珍しい野菜を育てる貴重な機会。うまみがありそうなので、できたらしっかり味わいたい」と笑顔で話した。中野さんは「成長を記録して、ぜひ古志大根について啓発してもらいたい」と期待した。