「SOS」早期の認知を 県いじめ対策連絡協議会
2019年05月21日
子ども・教育
【鹿児島総局】県いじめ問題対策連絡協議会(事務局・県教育庁義務教育課)が20日、県庁講堂であった。2019年度の第1回。県や官民関係機関の担当者、学識経験者など35人が出席して県内のいじめ対策について情報交換した。当事者の「SOS」早期認知や相談しやすい環境づくりなど、関係者が連携した取り組みの重要性を確認した。
県によると、17年度の全国のいじめ認知件数は40万1594件で、前年度比27・8%増。一方、県内は9・9%減の5378件となり、県内の公立小・中・高校と特別支援学校822校のうち、51%の419校では認知件数がゼロと報告された。
こうした状況について県は「いじめの定義が正しく認知されておらず、正確な認知への理解促進が必要」と分析。「『いじめがある学校』へのマイナス評価を気にするあまり、いじめの認知が進んでいない可能性もある」と懸念も示した。
本年度の生徒指導関係の取り組みとして、県は新たに「子どものこころのSOS事業」を展開。▽高校への臨床心理士などの派遣▽従来の電話相談に加え、SNS(会員制交流サイト)による相談・通報事業▽SOSの出し方に関する教育―などで、児童生徒が悩みを抱えた時に相談しやすい体制の充実を図る。
意見交換で出席者は、いじめの認知向上への取り組みに加え、その後の対応に関する検証や分析の必要性なども指摘。14年度の県立高校生のいじめによる自殺問題に関する第三者委員会の報告書について「報告書を学校教育に携わる全ての人が読み、当事者意識を持つことが必要」との声も寄せられた。