命を守るために 実験通じて土砂災害学ぶ 手花部小で出前講座

2024年05月18日

子ども・教育

土砂災害の実験模型を囲んで県大島支庁建設課の職員から説明を受ける児童たち=17日、奄美市笠利町

奄美市笠利町の手花部小学校(松山昭久校長)で17日、県大島支庁建設課による土砂災害出前講座があった。全校児童16人が出席。実験や教材を通じて職員4人から土砂災害の種類や対策の説明を受け、災害から命を守るための備えの大切さを学んだ。

 

出前講座は、防災教育の推進を目的に県が2010年度から小中学生らを対象に毎年実施している。昨年度までに延べ6176人が受講し、奄美群島内の受講者が多い。今年度、大島支庁管内の出前講座は同小で5校目。

 

17日は、県職員がアニメ教材なども用いて「土石流」「崖崩れ」「地すべり」といった土砂災害の種類や、土石流のスピードは時速40キロ以上になることもあり「走っては逃げられない」ことを説明。児童たちは早めの避難の重要性を学んだ。

 

職員手作りの模型を用いて、土砂災害から街を守るための砂防えん堤の効果を確認する実験も実施。土砂に見立てたビー玉が、山腹に設置されたえん堤によって受け止められ、勢いが弱められる様子を確認した。 同支庁建設課の茂谷紀博河川港湾第一係長は「災害は予測を超える力で襲ってくる。命を守るためには、早めの避難と日ごろの備えが大切」と呼び掛けた。同小6年の東柊吾君(11)は「備えの重要性やえん堤によって守られていることを学んだ。親にも伝えたい」と話した。

 

松山校長によると11年に奄美北部を襲った集中豪雨時には手花部地区でも、川の氾濫や高潮の影響などで床上浸水が発生したといい「災害は身近な問題であり、いつか必ずくると思って備えてほしい」と話した。同小では、児童避難後の保護者への引き渡し訓練の実施も検討している。