奄美の島唄に触れる 教員100人余、龍郷町などで研修 県音楽教育研究大会大島大会
2024年10月19日
子ども・教育
第62回県音楽教育研究大会大島大会(県音楽教育連盟、大島地区音楽教育連盟主催)が18日、龍郷町と奄美市で開催された。大会主題「あそぶ たのしむ ひらく そして生きる~結の心 未来を紡ぐ~」に沿った講演会と公開授業、授業研究があり、県内で主に音楽を担当する幼稚園~大学の教諭、教員ら100人余りが参加。奄美の島唄や音楽の授業を学び、よりよい授業づくりへ向け思いを新たにした。
同研究大会は、音楽教育のさらなる発展と振興を目的に、毎年県内持ち回りで実施しており、大島地区での開催は8年ぶり。午前は龍郷町のりゅうゆう館で開会式と唄者の平田まりなさん(28)による記念講演があり、午後は奄美市の大川小中、名瀬中、奄美高校と龍郷町の大島特別支援学校で分科会が開かれた。
開会式前には同特別支援学校高等部の生徒44人と龍郷町の芦徳住民らによる歓迎アトラクションがあった。生徒らは「朝花節」や仕事歌「イトゥ」を演奏。芦徳住民とコラボレーションして「餅むれぃ踊り」や「六調」も披露した。
記念講演では、平田さんが「『音楽』に宿るもの、『音学』の向こう側」をテーマに登壇。冒頭では、「神様の引き合わせによってお会いすることができました」など朝花節の歌詞の意味を紹介して歌唱した。平田さんの祖母で師匠の松山美枝子さんと、松山さんの師匠の故・上村藤枝さんが朝花節を歌う音源を流し、聴き比べも行った。
平田さんは「私にとって音楽は、知識として学び得たというより、祖母が歌い継ぐものを思い出のアルバムとして手渡されたような感覚。言葉や声、記憶、音で体に宿ってきたもの」と聴衆に伝えた。島唄も多数披露し、最後は六調で締めくくった。
午後は島内4校で分科会があった。奄美市の名瀬中学校では、南知亜紀教諭(35)による音楽の授業を公開。内容は、「編曲による多彩な表現を味わおう」と題して組曲「展覧会の絵」の音楽の特徴とその背景となる絵画との関わりについて理解するというもの。
南教諭は主体的・協働的に学習に取り組めるよう、生徒同士の話し合いの場を多く設けたり、板書やワークシートの工夫を行ったりした授業を意識し、タブレットの効果的な活用も示した。授業後には南教諭と見学者らによる研究会もあり、授業の感想や意見、提案などをフィードバックした。
南教諭は「授業をつくる視点を振り返り、教育の原点に立ち返ることができる経験になった」と感想。出水市立高尾野中学校の水谷康星教諭(37)は「大会を通して、島の子どもたちの素直さや目の輝きに触れた。公開授業では、先生の声掛けの仕方や、生徒の反応を丁寧に拾う姿勢が勉強になった」と話した。
同研究大会大島地区実行委員会の日置ゆかり会長(屋仁小学校長)は「子どもたちの協働的な学びのためにも必要な、結の心を伝えられたと感じる。先生方には、奄美ならではの幸せの形を感じ、それぞれの地域に持ち帰って授業に生かしてほしい」と総括した。