学徒動員の経験基に平和訴え 奄美出身の牧さん講話 鹿児島市の中学校で
2019年01月18日
子ども・教育
【鹿児島総局】奄美出身の教育カウンセラーで元公立高校校長の牧道重さん(88)=鹿児島市在住=が16日、鹿児島市の西陵中学校(伊東裕志校長、生徒数344人)で講話した。牧さんは学徒動員の体験などを語り、生徒たちに「戦争の悲惨さと平和の大切さを再確認し、次代につないでほしい」と訴えた。
牧さんは旧名瀬市(現奄美市名瀬)出身。旧制大島中学校(現大島高校)の卒業生で、大島高の教頭や大島北高、徳之島高の校長を務めた。大島中学校在学中の45年2月に15歳で召集され、瀬戸内町や天城町で通信兵として軍隊生活を送った。
天城町で兵役を務めた陸軍浅間飛行場は特攻機の中継基地。牧さんは特攻隊員との交流など当時の様子を説明し、「若い隊員の出撃を見送り、何ともいえない切なさを感じた」などと心境を語った。
その上で「現在は戦争の語り部が減り、悲惨な記憶が風化しつつある。戦争の悲劇を語り継ぎながら、(日本は)隣国の中国や韓国、世界の国々と仲良くする努力をすべきだ」と述べた。
講話は1年生111人を対象とした同校の平和学習の一環。生徒代表の村吉夏歩さん(13)は「戦争を知らない世代として当時のことをしっかり学び、平和の大切さをつなぎたい」と話した。