学校茶道教育の発展に尽力 瀬戸内町出身の津留さん 裏千家から特別表彰 沖縄・那覇

2024年02月25日

子ども・教育

島袋洋会長から表彰状と記念の書作品を受け取り喜ぶ津留健二さん(右)=10日、那覇市

瀬戸内町請阿室出身で元沖縄県教育長の津留健二さん(90)が、同県の学校茶道の発展に大きく貢献したとして、10日に那覇市で開かれた沖縄学校茶道連絡協議会(島袋洋会長)の創立50周年記念式典で、茶道裏千家から特別表彰を授与された。

 

同会は沖縄の日本復帰翌年の1973年、茶道教育でよりよい人づくりに寄与することを目的に、茶道裏千家淡交会沖縄支部の指導を受けて設立された。2023年12月現在、沖縄県内の保育園から大学まで65校が同会に登録し茶道教育を実践しており、津留さんは副会長を務めている。

 

津留さんと茶道教育との関わりは、県教育長、県人材育成財団理事長を歴任後、沖縄女子短期大学付属高校(2009年閉校)の校長に就任した1995年にさかのぼる。生徒たちが正しい姿勢や身だしなみ、言葉遣いやマナーを身に付けるには茶道教育が有効だと考えた。もともと校内に茶室はあったが、本格的な茶道が学べる環境ではなかったことから、裏千家の指導を受けてこれを改装。裏千家本部(京都市)の学校茶道教育研究指定校となり、卒業時には許状を取得できるよう学校カリキュラムを充実させた。

 

自身は茶道について素人だが、茶のもてなしを通じて平和を祈る「一椀からピースフルネス」という前家元の千玄室氏の思想に深く共感し、今も学校現場と茶道裏千家の橋渡し的な役割を担っている。

 

式典のあいさつで、津留さんは「『和敬清寂』など茶道の基本理念を教育実践に結びつけることで、子や若者が素晴らしい県民に育つだろう」「学校が茶道との連携を深め、地域とともに発展するようこれからも一層努力していきたい」と述べ、思いを新たにした。

 

交流茶会で日頃の稽古の成果を披露する児童生徒ら=10日、那覇市

式典後の交流茶会では、協会登録校の児童生徒らが、旧正月を意味する「ウチナーソーグヮチ」をテーマに茶室を整え、日頃学んだお点前を披露。訪れた多くの参会者らにお茶を振る舞った。

(沖縄通信員・佐久本薫)