東大、ソウル国立大と交流 離島医療の現状など紹介 奄美看護福祉専門学校

2023年08月30日

子ども・教育

奄美看護福祉専門学校看護学科2年生の「地域学習」発表に耳を傾ける東大、ソウル国立大の学生ら=28日、奄美市名瀬

東京大学とソウル国立大学合同の国際研修「プラネタリーヘルス奄美研修」が27~30日の4日間、奄美大島で実施されている。28日には奄美市名瀬の奄美看護福祉専門学校(向井奉文校長)に来校。同校看護学科2年生18人は、両大学部生ら約30人に対し、離島における看護教育や医療の現状、地域課題などについて紹介した。同校の大学研修受け入れは初めて。

 

国際研修は東大大学院総合文化研究科教養学部の前期課程における授業の一環。国際交流を通してグローバルな視野を養うことを目標としており、海外教育機関との共同プログラムや現地学生との合同実習を含む研修など、国内外でさまざまな活動を行っている。

 

今回、グローバルヘルス(国際保健)を専門とする同学部国際交流センター・グローバリゼーションオフィスの佐藤みどり特任講師のプロジェクト型授業として、協定校であるソウル大の学生らと共に来島した。

 

授業テーマに、気候変動や感染症、食糧危機など地球が直面する問題と人間の健康との因果関係を統合的に捉える概念「プラネタリーヘルス」を掲げており、〝日本の縮図〟とされる離島の地域保健医療や環境文化を調査するため、奄美看護福祉専門学校での研修が企画された。

 

研修では、看護教育の現場として同校の特徴が紹介されたほか、看護学科2年生が1年生カリキュラム「地域学習」でまとめた、奄美大島7地域における医療福祉の現状や課題、住民の生活や自然との関わりなどについて発表。学生間交流として「キャリアトーク」の場も設けられた。

 

将来、訪問看護の分野に進みたいという、奄美看護福祉専門学校の島田千和子さん(37)は「少子高齢化は韓国などでも共通の課題であり、島での持続可能な医療福祉について、大学生の方々の興味が集中した。島に残り、医療分野に携わる魅力を伝えることもでき、有意義だった」と話した。

 

専攻分野と密接に関わるプラネタリーヘルスの日本での取り組みを学びたいと参加したソウル大の工科大学原子核工学科3年、鄭珍鏞(ジョン・ジンヨン)さん(21)は「奄美大島は大都市にはない豊かな自然があり、この環境を保全するためには、多くの働き掛けや努力が必要だろうと肌で感じた。また、離島で学ぶ学生の深い熱情に、感銘を受けた」と語った。