鹿大で「奄美の未来を考える」パネル討議
2019年12月13日
子ども・教育
「豊かな自然と文化を有する奄美の未来を考える」と題したパネルディスカッションが12日、鹿児島市の鹿児島大学稲盛会館であった。同大学の創立70周年記念シンポジウムの一環で、奄美の自然・文化を通じて地域の研究、発信などの活動に携わる産官学の関係者など6人が、それぞれの立場から意見や提言。県本土と沖縄の中間に位置する奄美の独自性や、島々で異なる方言や文化などの多様性を再確認した。
シンポジウムのメインテーマは「南九州から世界に羽ばたく、グローカル教育拠点・鹿児島大学を目指して」。パネルディスカッションでパネリストは奄美の自然、文化の継承、人材育成の方向性など、地域の将来も見据えながら提言した。
奄美市立奄美博物館の高梨修館長は、奄美と沖縄を一体的に捉える考え方について「沖縄から奄美を見ると、自然環境など類似点が多く、奄美が沖縄の付録になってしまうことが多い」と指摘。沖縄だけでなく、鹿児島県本土から奄美を見ることの重要性も訴えた。
地域の人材育成や生涯学習の視点では、奄美エフエム ディ!ウェイヴの麓憲吾代表理事が「島に生まれ育った自信と誇りを覚えるためにも、自身のアイデンティティーの再確認が必要」と強調。
今年3月まで県大島支庁に勤務していた県企画部の田中完次長は、鹿児島大学のワークショップで奄美を訪れた学生と地域との交流により「地元愛にあふれる人材が育っている」と述べ、地域の教育・研究機関としての同大学の役割に期待。県奄美パーク園長の宮崎緑氏は、奄美での教育拠点施設整備を提言した。
パネルディスカッションに先立ち、宮崎氏が「国際人育成の視座」と題して講演。同日は同大学の創立70周年記念式典と、大学敷地内に完成した稲盛記念館のオープニングセレモニーもあった。