再発防止で検討委設置 奄美市中一指導死

2019年04月03日

子ども・教育

男子生徒の父親に回答書を渡す朝山市長(右)=2日、奄美市役所

男子生徒の父親に回答書を渡す朝山市長(右)=2日、奄美市役所

 2015年11月に奄美市内の公立中学1年男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、朝山毅市長は2日、遺族が1月に提出した要望書に回答した。再発防止対策検討委員会を設置して生徒指導や教育相談などの望ましい在り方を検証し、再発防止策を構築する考えを示した。男子生徒の父親(40代)は「検討委員会は市教委内につくると聞いている。市教委に働き掛け、再発防止へ向け協力していきたい」と話した。

 

 男子生徒の自殺を巡っては遺族の要望を受けて市が設置した第三者委員会が18年12月、自殺原因を「担任教諭の不適切な指導と家庭訪問」とする報告書をまとめて市に提出した。

 

 遺族は要望書で、第三者委の報告書が指摘する自殺の原因に対する市長の見解、報告書の再発防止の提言を市が履行するかチェックする第三者機関の設置など7項目を求めた。市内の小中学校での報告書の常備や市民説明会の開催など8項目の具体的な対応策の実施も提言した。

 

 市長は回答書で、第三者委の報告書に自殺の原因が教員の不適切な対応と認定されたことを重く受け止めるとの見解を示した。

 

 再発防止策については、報告書を市内の小中学校に常備し、教職員が閲覧できるようにしたと要望に応えた以外は「検討委員会で検証、構築する」と回答。検討委の設置時期には触れなかった。

 

 自殺の翌日に経緯を「いじめ」と断定するなどした市教委の当時の判断については「感想・評価は控える」、遺族が検討委員会に第三者委を入れるよう求めたことには「考えていない。必要に応じて意見を聞きたい」とした。

 

 遺族側は市長との面談後、市役所会議室で記者会見した。自殺前後の対応を巡り、学校や市教委への不信感は現在もあるとしながら、「教育関係者が息子の自殺を、真摯しんし)な気持ちで検証することが再発防止につながると思う。教委中心の検討委員会設置を前向きに捉えたい。遺族や第三者委がメンバーに入れるよう要望は続けたい」などと語った。

 

 市側は市議会3月定例会で、検証組織は▽学識経験者や法律専門家、学校長ら約10人▽会合は5回程度▽結果はウェブサイトに公表する―などとした。

 

 第三者委の報告書によると、男子生徒は15年11月4日、同級生に嫌がらせをしたとして担任教諭から指導を受け、同級生に謝罪。下校後、担任教諭が家庭訪問に来た後、遺書を残して自宅で自殺した。