甲子園応援、どうなる? 選抜開幕まで1カ月、大島高

2022年02月21日

子ども・教育

新型コロナ禍で合奏ができない中、個人練習に励む吹奏楽部の生徒たち=18日、奄美市名瀬の大島高校

3月18日開幕の第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)まで1カ月を切った。野球部の出場が決定した奄美市名瀬の県立大島高校では学年末試験が終わり、部活動が再開。野球部応援の準備も動き始めている一方、新型コロナウイルス感染第6波の影響で、選抜大会本番の応援方法は見通せていない。吹奏楽部は「野球部の力になれるよう、音楽を届けたい」と球場演奏、事前収録いずれも想定しつつ練習に励む。

 

選抜大会は3月18日から、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催。各都道府県や地区大会の結果などを基に選出された32校が出場する。九州地区準優勝の大島高は一般枠で選出。21世紀枠で選出された2014年以来、2度目の出場となる。

 

2年前から続く新型コロナ禍で、20年の中止、21年の規制(観客席入場制限、吹奏楽演奏禁止など)付き開催を経て迎える今大会。観客の有無など規定が注目される中、20日現在、詳細は明かされていない。

 

8年前の第86回大会、大島高は吹奏楽部と新体操部(チアリーディング)、同校伝統の応援団による特別編成を組んで球場応援に臨んだ。一丸となった活気あふれる応援は「最優秀応援団賞」に選ばれた。

 

「球場演奏は理想だけど、コロナ禍でどうなるか分からない。モチベーションの維持が難しいと思う」。吹奏楽部の山角伊世顧問は部員の心情を察する。「『演奏が誰かの力になる』ということは、部員にとって最大のやりがい」だという。

 

選抜大会へ向け、野球部から新たな楽曲リクエストが相次ぎ、奄美伝統の島唄も積極的に練習している現状。同大会のほかにも夏のコンクールまで複数の演奏機会を控えるが、田川海空部長(2年)は「どれもしっかり取り組みたい」と前を向く。

 

市内での新型コロナ爆発的感染が尾を引き、同部は昨年末以来、合奏練習ができていない。松原こゆき副部長(2年)は「正直、早く音合わせをしたいけど、今は基本の音づくりに集中するしかない」と語った。

 

18日、奄美群島を含む県内全域への「まん延防止等重点措置」適用が3月6日まで延長された。「厳しい状況だが、生徒たちの思いと努力は形にしたい」と山角顧問。選抜大会へ向けた野球部の出発に間に合うよう、3月上旬までの合奏収録を目指している。

 

昨秋の九州地区高校野球大会準々決勝、球場応援でチアリーディングを披露したダンス部は現在、3月に出演する別のイベントへ向けて練習中。政村李玖部長(2年)は、選抜大会についても「球場応援できるとなれば、全力で取り組みたい」と目を輝かせる。

 

発足(当初は同好会)3年目のダンス部は昨年、2度目の県総体挑戦で2位相当の優秀賞を獲得。今夏は初優勝と、それに伴う全国大会進出も視野にある。政村部長は「野球部に刺激を受けて『負けたくない』気持ちがより強まった」と、ダンス部の躍進も期する。

 

球場応援の中心となりうる吹奏楽部をはじめ、生徒たちの「野球部を応援したい」という思いは、どのように結実するのか。選抜大会の応援について、学校側は「コロナ下で判断は難しいが、今できる最善を模索したい」と、主催者側からの詳報を待っている。