4割超「避難できない」 奄美大島 介護事業者協ら調査

2022年02月21日

地域

奄美大島介護事業者協議会と県介護支援専門員協議会奄美大島・喜界島支部は16日、災害時の在宅要介護者等の避難に関する実態調査結果を公表した。在宅要介護者らの4割超が「同居家族以外の他者の手助けがないと避難できない」と回答。その4割超のほとんどで避難行動要支援者らの情報や避難施設、避難経路などを記載した個別避難計画が作成されていないことも判明した。

 

同介護事業者協などによると、奄美群島などで1月16日未明、津波警報が発令された際、自力で避難できない在宅の要介護者(要支援者)の多くが高台などへ移動できず、自宅で不安な時間を過ごす事態に陥った。

 

調査は避難に伴う課題の改善が目的で、奄美大島5市町村の居宅介護支援事業所と地域包括支援センターに所属する介護支援専門員(ケアマネジャー)73人が協力し、そのケアマネが担当する在宅の要介護(要支援)者の約62%に当たる1844人から回答が得られた。

 

調査は8項目。「利用者1人(もしくは同居の家族が一緒に)で最寄りの避難所などに避難できるか」との問いには、1人で避難できると回答したのは134人(7%)で、「家族と避難できる」(882人、48%)、「避難できない」(797人、43%)。「避難できない」と回答した人のうち、76%で避難方法が想定できていなかった。

 

避難行動が想定できていない理由で多かったのは、▽介護サービスだけでは対応しきれない▽自治会など関係機関との連携が図れていない▽家族の協力が十分に得られない│などだった。

 

個別避難計画については、回答した介護支援専門員全員が作成の必要性があるとし、災害時の避難に危機感を感じていることも確認された。個別避難計画を作成するに当たって必要なこととして▽自治会や民生委員など関係機関との連携を図るための意見交換▽隣近所や地域住民の避難支援に対する意識の醸成―などの意見があった。

 

同介護事業者協ら2団体は1月18日、奄美市に対し、「災害時の要介護高齢者等の適切な避難」に関する要望書を提出。官民協力による支援体制の構築を求めている。