親子でハンセン病学ぶ 奄美和光園
2019年08月09日
子ども・教育
奄美市名瀬の国立療養所「奄美和光園」(加納達雄園長、入所者23人)で8日、県事業の「親子療養所訪問」があった。市内の家族連れなど8組28人が入所者と交流してハンセン病問題への理解を深め、差別や偏見のない社会実現への思いを強くした。
親子療養所訪問は、ハンセン病問題の啓発につなげようと毎年夏に実施している。参加者は旧火葬場や朝日小・中学校双葉分校跡など園内施設を見学後、納骨堂に献花して亡くなった人たちの冥福を祈った。
加納園長が講演し、和光園が設置された背景や経緯、らい予防法によってハンセン病患者を強制収容した国の政策などを説明した。
同法が廃止された現在、同園は入所者が夏祭りなどで市民と触れ合い、市民の農園利用や外来診療を受け付けるなど地域に開かれた施設になっていると紹介。その一方で入所者の平均年齢が86・4歳と高齢化が進む現状も示した。
交流会は参加者が2班に分かれて入所者、同園職員と懇談。1947年に18歳で同園に入所したという女性(90)は、発症当時は戦争の恐怖感が残り、病気でさらに不安が増したとして「あまり思い出したくない」と語った。同園での生活について「入所者みんなで仲良く助け合ってきた。運動会は楽しかった」と振り返った。
初参加の名瀬小6年の竹山南々子さん(12)は「ハンセン病を体験した人はつらい思いをしてきたんだと感じた。今回のことを友達に伝えたい」と話した。