「生きる」を支える奄美市に 自殺対策計画を策定
2019年03月26日
政治・行政
奄美市自殺対策推進本部(本部長・朝山毅市長)は25日、市役所で会議を開き、自殺対策計画(2019~23年度)を策定した。人口10万人当たりの自殺死亡率の目標値は、国の指針に照らして26年に「17・8人」と設定。全庁体制で横断的に情報共有や対策を進め、副題にも掲げた「誰も自殺に追い込まれることのない 生きるを支える奄美市」の実現を目指す。初年度は人材育成や子どもへの取り組みを推進する。
奄美市の15年の自殺死亡率は25・5人。国18・5人、県19・0人より高い。13年から5年間の自殺者性別をみると、男性が85・2%。年代別自殺死亡率は80歳以上男性が突出して多く、次いで20代男性、30代男性と若い世代が続く。
計画目標値の自殺死亡率は国の自殺総合対策大綱で示された方針(15年から30%以上減少)に照らして設定。その前の市計画最終年となる23年は19・9人とした。
基本施策は①人材育成②ネットワーク構築③市民への啓発、周知④生きることの促進要因への支援―の4本柱を据えた。市の現状を踏まえ、「高齢者」「生活困窮者」「子ども・若者」「働いている人・経営者」に対する重点施策を推進する。
19年度は自殺のリスクを抱える人に適切な対応を図るためのゲートキーパー構成講座を市職員ら対象に実施する。児童生徒に対しても、悩みを抱えたときのSOS発信方法を伝える教育を行う。
計画は自殺対策基本法に基づき策定された。昨年8月に推進本部を設置し、関係課のワーキングチーム会議や、関係機関と地域代表らでつくる地域ネットワーク会議を開催。自殺は多様な要因が複雑に関係しており、包括的な施策を推進する必要があるため庁内全課に聞き取りを行った。
朝山本部長は「可能な限り自殺死亡率をゼロに近付けるのが目標。努力を惜しまず、全庁体制で各課横断的に対応していく。市民への啓発周知も行いたい」と語った。
事務局によると、県内で自殺対策計画を策定しているのは鹿児島市のみ。