ウクライナへ救急車を贈与 第2のステージでも命を守って 瀬戸内町

2023年06月29日

政治・行政

贈与式に出席したNPO法人の上村眞由理事長(前列左から2人目)ら関係者=28日、瀬戸内町

瀬戸内町は大島地区消防組合瀬戸内消防分署で15年以上にわたって使用してきた高規格救急車1台を、三重県を拠点とするNPO法人SunPanSa(上村眞由理事長)を通じて、ロシアからの軍事侵攻が続くウクライナへ贈る。現地での救急患者搬送や初期治療のニーズの高まりに応えるもので、同分署で28日、贈与式があった。鎌田愛人町長から上村理事長へ、目録と軍事侵攻への抵抗の象徴「ヒマワリ」のキーホルダーを付けた救急車の鍵が手渡された。

 

上村理事長によるとウクライナでは、ロシアからの攻撃により、医療施設や電気、水道などが損傷。負傷者の搬送に加え、救急車での初期治療のニーズが非常に高く、現地から「すぐに利用できる中古救急車」が求められているという。

町民が手編みしたヒマワリのキーホルダー=28日、瀬戸内町

 

ウクライナを支援する同法人では全国の消防署へ中古救急車を求める手紙を送付。大島地区消防組合にも1月に届いた。趣旨に同意し、瀬戸内分署で現役引退予定の救急車が1台あったことから、関係機関や予算元の同町と調整の上、贈呈が決定。同法人を通じた救急車の贈呈は全国3例目という。

 

鎌田町長は「救急車が1人でも多くの命と体を守るために活躍することを見守っていきたい」と話した。26日に来島し住民とも交流した上村理事長は「大島の人は戦争の苦しさや悲しさをよく分かっていると実感した。救急車が第2のステージ、ウクライナで多くの人命を救助すると確信している」と感謝した。

 

瀬戸内消防分署の久野泰信分署長によると、贈られる救急車は、2008年3月に瀬戸内町初の高規格救急車として運用開始。今年5月10日まで15年以上稼働し、走行距離は約8万4000キロ。これまでの出動件数は約5100件で、5千人以上を搬送。事故や故障はなかった。

贈呈された救急車は、関係機関を通じて輸送。ウクライナ到着後は、在ウクライナ日本大使館立ち合いのもと現地の医療系NPO法人へ渡される予定。8月ごろの到着を目指す。