バイオマス活用で先進地に学ぶ 奄美市
2019年12月18日
政治・行政
奄美市主催の「地域循環共生圏プラットフォームづくりにむけたバイオマス活用勉強会」が16日、同市名瀬の集宴会施設であった。11月に続き2回目。奄美大島の自治体、事業所から約50人が参加。バイオマス事業で注目されている北海道興部(おこっぺ)町の硲(はざま)一寿町長を講師に、同町が取り組む先進事例を学んだ。
同町は酪農と漁業が基幹産業で現在、人口3808人。硲町長は自身も酪農家であったことから牛のふん尿のバイオマス活用に着目。同町には現在、バイオガスプラント3施設があり、2014年に農水省などが選定するバイオマス産業都市に認定された。
硲町長は「牛1頭1日分のふん尿からカセットコンロのボンベ3個分のメタンガスが取れる。水素、メタノール、ギ酸などの化学物質や液肥も生産可能」「生ごみも原料にしたことでごみ処理費用の削減もできた。ふん尿の悪臭の影響も抑えられるなど、住民生活に直接関わる問題が改善できた」とバイオマス活用のメリットを紹介した。
一方で、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)なしでは採算性が低いことに触れ、「ふん尿や生ごみの処理、液肥によって削減できる化学肥料などの費用削減効果も考慮する必要がある。一企業や行政が主導するのではなく、住民が『バイオマス事業は長い目で見るとこんなメリットがある』と地域づくりのイメージを共有して取り組むことが重要」とまとめた。
講演後、バイオマスリサーチ㈱(帯広市)の菊池貞雄代表取締役と公開対談。受講者から「酪農が盛んでない奄美で活用できるバイオマス資源は」などの質問があった。
菊池さんは「牛のふん尿のガス発生効率は低い。酪農にこだわらずその土地で安定して入手できるものを選ぶことが重要」と回答。硲町長は「焼酎かすのガス発生効率は牛のふん尿の1・8倍という数字もある。ガス発生の工程では発酵が重要なので焼酎造りのノウハウも活用できるのではないか」と話した。