ペット同室避難所を開設 飼い主ら16人が訓練 奄美市名瀬

2024年05月27日

政治・行政

ウサギにハーネスを取り付ける参加者(右手前)とテントを設営する参加者=26日、奄美市の名瀬運動公園体育館更衣室

大規模災害発生を想定したペット同室避難所の開設訓練が26日、奄美市の名瀬運動公園体育館更衣室であった。同日に行われた県総合防災訓練の一環で、今月14日に市と奄美大島ペット防災の会(久野優子会長)が結んだ「災害時におけるペット同室避難に関する協定」に基づき実施。猫やウサギなどを連れた飼い主ら16人が参加し、避難から避難所の設営、本部への連絡までの流れを確認した。

 

訓練は午前8時の地震発生に伴う大津波警報発令後、高台へ逃げた後の想定で実施。同8時20分ごろから、ペット連れやペットは連れずとも避難の流れを確認したい飼い主らが続々と避難所を訪れた。

 

参加者は、防災の会が市のマニュアルを基に作成した「ペット避難所運営マニュアル」に沿って避難所を設営。施設の安全確認や備品運搬、ブルーシートやテントの設置、ペットの種類によるエリア分けなどを協力して行った。同9時40分ごろに設営完了を市災害対策本部へ報告。実際の災害時には、市から同室避難所開設の周知が行われるという。

 

この日避難してきたペットは猫4匹とウサギ3匹。2歳の猫と避難した松元麻矢さん(26)は「設営の流れを確認できてよかった。出発前に猫をケージに入れるのに時間がかかったので、今後工夫したい」。2匹のウサギを連れた獣医師の佐藤花帆さん(30)は「鳴き声が少なく、ペットにとって過ごしやすい環境だった。テントも広くハーネス着用で数日間は余裕を持てる。空調がないため、熱中症対策などに工夫が必要」と話した。保冷剤を持参した飼い主もいた。

 

久野会長(50)によると事前に防災の会ホームページやSNS(インターネット交流サイト)、動物病院などを通じて訓練実施や準備事項を発信したといい「(荷物の量など)本番さながらの大変さを実感できたことや、参加者同士で協力し合って避難所を開設できたことがよかった」「(本避難所だけでは限界があり)歩いて避難できる距離に同室避難所があることを当たり前にしたい。そのためにも防災の会として、飼い主に知識や備えの啓発をしていきたい」と語った。

 

奄美市では本避難所のほか、住用公民館2階ホール(住用地区)と太陽が丘運動公園武道館(笠利地区)がペット同室可能な避難所として指定されている。