三太郎線で実証実験始まる 9日まで夜間の車両規制 奄美市住用町
2021年05月03日
政治・行政
夜間に野生生物を観察するナイトツアーの増加を受けて、奄美市住用町の市道三太郎線周辺で4月29日、車両の通行を規制する実証実験が始まった。5月9日までの期間中、午後7時から翌朝6時までの通行は予約制とし、台数を制限する。実験事務局の環境省によると、初日は8台の利用があり、そのうち1台は予約のない車両だった。同省は「利用の際は必ず予約してほしい」と呼び掛けている。
実験では三太郎線の東仲間│西仲間の区間で利用台数を1時間4台に制限し、両入り口から通行できるのはそれぞれ30分おきに1台。三太郎線が接続する市道スタル俣線は通行止めとする。ナイトツアーに慣れていない人には、ガイドの同行を推奨している。
4月29日はツアー客を乗せたガイドの車両などが現地を訪れた。入り口に設置された看板を見ながら、時速10㌔以下で走行することや車両同士で譲り合って通行することなど、野生生物を観察するためのルールを確認する姿が見られた。
ガイドの案内で初めてナイトツアーを体験した山根香岐さん(27)=大和村大棚=は「写真や本でしか見たことがない生き物をたくさん見られて感動した。安全に多くの生き物を観察できるルールが実現できるといいと思う」と話した。
実証実験は昨年11月に続いて2回目。環境省と関係機関・団体で構成する三太郎線周辺の夜間利用適正化連絡会議が実施。今年夏の奄美・沖縄の世界自然遺産登録を見据えて、ナイトツアーの増加に伴う野生生物の交通事故や、通行をめぐる利用者同士のトラブルを防止するのが目的。規制に法的強制力はなく、利用者に協力を依頼する。
初日は予約していたものの、通行が確認されなかった車両もあり、同省は「他の人が利用できるように、行けなくなった場合はキャンセルしてもらいたい」と注意を促した。今後は実験結果を踏まえて利用ルールを検討し、7月以降に試行的な運用開始を目指す。
予約は奄美群島国立公園管理事務所のホームページ上の予約システムか、三太郎の里(住用町摺勝)のタブレット端末などから申し込める。問い合わせは電話090(5286)1218実験事務局へ。