与論島も通常搬送へ 沖縄ドクヘリ運用で協定締結 鹿児島・沖縄両県

2022年06月21日

政治・行政

沖縄県ドクターヘリ(沖縄県提供写真)

鹿児島、沖縄の両県は20日、「沖縄県医療用ヘリコプターの鹿児島県域における運航に係る協定」を締結した。奄美群島の徳之島、沖永良部島、与論島の救急患者搬送に関連する内容で、与論島では7月1日から奄美ドクターヘリが運航可能な場合でも沖縄県ドクターヘリに出動を要請することが可能となる。同町の山元宗町長は「島民が長年切望し、粘り強く要望してきたことがようやくかなった。大変うれしい」と喜んだ。

 

ドクターヘリ(ドクヘリ)による奄美群島の南3島の救急患者搬送についてはこれまでも、毎年沖縄県に文書で依頼し、奄美ドクヘリが対応できない時などに沖縄県ドクヘリでの搬送が行われていたが、協定は結んでいなかった。

 

協定書には、沖縄県ドクヘリが鹿児島県で運航対象とする地域として徳之島、天城、伊仙、和泊、知名、与論の6町を明記。ただし、与論を除く地域は奄美ドクヘリが他事案への出動中で対応できない時や、ヘリの不具合、天候不良で使用できない時などに限られる。沖縄県ドクヘリの鹿児島地域での運航実績に応じ、かかった経費を鹿児島県が負担することも協定書に明記されている。

 

徳之島、沖永良部島の2島と与論島では協定内容に違いがあることについて、鹿児島県医療福祉課は「与論島からの搬送の場合は奄美大島へ搬送するよりも明らかに沖縄県本土と距離が近く、沖縄県ドクヘリに出動要請することで病院収容までの時間短縮になり、救命率の向上などにつながるため」と理由を説明した。

 

奄美群島の南3島では、沖縄県ドクヘリの活用を求める声が以前からあった。特に与論島では、生活圏域である沖縄県本土の病院への救急搬送を求める住民が多く、島民有志が団体を組織し、町や議会と連携して関係機関への要望活動を行っていた。

 

鹿児島県は近く、与論町で沖縄県の関係者や、同町の消防、医療、行政関係者らを交え、今回の協定に関する説明会を開催する。