世界遺産登録の後押しに 奄美市景観計画策定委が初会合

2018年10月16日

政治・行政

初会合が開かれた奄美市景観計画策定委員会=15日、市役所

初会合が開かれた奄美市景観計画策定委員会=15日、市役所

 地域独自の自然や歴史文化を生かした景観づくりの指針となる「奄美市景観計画」策定に向けた委員会初会合が15日、市役所会議室であった。計画は本年度中にまとめる方針。朝山毅市長はあいさつで「景観資源を保護し、環境文化型の国立公園をしっかりと形成することで世界自然遺産登録の大きな基礎になるのでは」と期待を寄せた。

 

 計画は景観の保全、形成を目的に基本方針やルールを定めるもの。大規模な建築物や工作物の建築、外観変更等を届け出制にするなど緩やかに規制できるほか、重要建造物や樹木の指定が可能になる。同市は景観法に基づき、2011年10月に計画策定の前提となる景観行政団体へ移行している。

 

 素案によると、区域対象は市全域。特に重点的な景観形成が必要なエリアを重点景観計画区域と定め、より詳細なルールを設定することとしている。

 

 策定委は学識経験者、地域団体、観光、建設、商業など委員14人で組織した。委員長に木方十根・鹿児島大学大学院教授を選出した。

 

 委員から「奄美大島の景観と考えると他町村との連動性が必要」と指摘があり、事務局はこれに理解を示しつつ「現状では奄美市以外で策定の動きは聞いていない」と答えた。別の委員からは「市民が納得するよう有効な計画を」と要望があった。

 

 昨年10月に実施した市民アンケートでは、景観や環境について「悪化の恐れがある」が43・4%、「早急に対応を取るべき」が24・9%。特に住用地区は両方合わせて9割以上に上り、危機感を持つ住民が多いことが分かった。

 

 景観計画策定後は19年度以降に景観条例制定、文化的景観保存計画策定を目指す。