奄振1・2%減の203億円 交付金は前年並み確保 政府25年度予算案

2024年12月28日

政治・行政

政府は27日、2025年度予算案を閣議決定した。奄美群島振興開発事業関係(国土交通省一括計上分)は公共、非公共合わせて前年度当初比1・2%(2億4900万円)減の203億1500万円。うち非公共で各種ソフト事業に充てることができる奄美群島振興交付金は前年度並みの23億6200万円を確保した。(2面に関連記事)

 

奄振予算の公共事業分は前年度当初比1・3%減の179億4700万円。減額について国土交通省は「各事業の進捗(しんちょく)状況や地元の要望を踏まえた結果」とした。

 

計上予算では、港湾整備に前年度当初比1500万円増の16億2300万円を盛り込んだ。名瀬港と和泊港で岸壁、防波堤の整備を継続する。空港は奄美空港、徳之島空港、与論空港などで無線施設の更新やRESA(滑走路端安全区域)を整備する。

 

道路や橋、トンネルを長寿命化させるための補修は前年度並みの3億9900万円を計上。道路環境は通学路における交通安全対策として、知名町などで歩道整備を進めるほか、和泊、与論両町で県道無電柱化を継続する。

 

水道廃棄物処理では、奄美市、宇検村、瀬戸内町、天城町で簡易水道整備などに5億1700万円を盛り込んだ。徳之島愛ランドクリーンセンター(伊仙町)の焼却炉など基幹的設備の改良も行う。

 

農林水産基盤整備は前年度並み(1200万円減)の74億800万円。喜界島、沖永良部島の地下ダムや用排水路施設の整備を継続する。水産基盤整備では古仁屋漁港(瀬戸内町)、早町漁港(喜界町)などで漁港や漁場整備を進め、漁港施設の機能強化や水産物の安定供給を図る。

 

社会資本総合整備(交付金)は2・1%(1億6200万円)減の73億7600万円。国道58号おがみ山バイパス事業(奄美市)関連費を計上したほか、防災・安全対策で砂防えん堤や道路耐震補強、のり面対策などを行う。

 

非公共は振興開発調査費を含め23億6800万円。改正奄美群島振興開発特別措置法の基本理念に盛り込んだ「沖縄との連携」を踏まえ、沖縄を対象に加えた農林水産物輸送コスト支援や航路・航空路運賃軽減など主要な既存事業は継続する。

 

農林水産業の振興として、台風対策の平張りハウス整備や農業機械の導入に加え、台風接近時に肥料搬入や農産物の出荷が停滞することを踏まえ、堆肥舎や貯蔵施設などを整備する。

 

成長戦略の実現に向けた支援では24年度補正予算から、金融機関から創業資金を借り入れた際の利子について、一定期間支援する制度を新設。支援する期間や金額上限については制度設計中としている。